01
建物は地面に建つ。家具は人につく。
当たり前のことですが、建物は地面の上に建ちます。建物が建つ地面のことを敷地といいますが、敷地のもつ歴史や成り立ちを理解することを大事にしています。理由は3つあり、1つめは建物を支える基礎の設計に必要であるため、2つめは自然災害リスク(主に水害ですね)を考慮するため、3つめはその土地から受ける印象・感覚を裏付け、設計の理路を確たるものにするためです。敷地が求めることは大抵の場合、お施主様の要望より優先度が高いと考えています。
対して、家具は住まい手のものです。この空間にはこんな家具がふさわしいということはできますが、住む人が変われば家具も変わることがふつうです。住み手と家具が変わっても美しさが保たれる、汎用性の高い、骨太な空間をつくることを常に意識しています。
02
自分が納得できるかどうか。
お施主様の要望に対して、NOということも多くあります(もちろん「むしろこうしたほうがよい」と代案を提示することは当然です)。お施主様がこれでいいと言った、ということを不出来な設計の言い訳とすることは設計者としてしてはならない。基本的なご要望(広さや明るさなど、建築の動機に関わるもの)を踏まえていれば、たいていの場合自分がよいと思ったものはご納得いただける、と信じて設計に取り組んでいます。20年を超えるトレーニングを積んでいる自分の設計判断はそれなりに蓋然性が高いという自負もあります。
と書くと恐ろしい独善家に聞こえるかもしれませんが、お客様のご要望をいかに叶えるか?本当に求められていることは何か?を考えて手を動かすときに一番頭が早く動きます。設計者というものは根本的に受け身なのです。
03
誰がみてもよいものはよい。きれいなものはきれい。
オーソドックスなプラン、デザインに惹かれます。奇をてらったプラン、趣向を凝らしたデザインには新奇性はあっても時間が経つと飽きるものです。普遍性、汎用性の高い設計をしたい。誰がみてもよいものはよい、きれいなものはきれい。そう考えて設計をしています。
04
チームデザイン ... 1人で設計しない。
前段で「自分が納得できるかどうか」と書きましたが、チームデザインの場においては「チーム全員が納得できるかどうか」が必要となります。これが大変に難しく時間もかかる作業なのですが、チームデザインを乗り越えた計画は、より強く、必然性の高いものになります。どんなものができるかどうか、楽しみです。