建築ストーリー

家の真ん中に
エレベーターがある住宅

ご夫妻がはじめてTDOにご相談くださったのが2010年のこと。
TDOの営業担当が土地探しのお手伝いをしながら、約7年におよぶ紆余曲折を経て、
2017年にこだわりとアイデアの詰まった2階建て住宅が完成しました。

写真左から、営業担当大竹、I様ご夫妻、設計担当荒川

東京都板橋区の閑静な住宅街の一角に、正浩さんと妻の香苗さんの暮らす家があります。

限られた敷地の中で、空間の機能を上手くクロスオーバーさせ、開放感がありながらも程よく仕切られたI邸。ヘーベルハウスにご依頼された経緯、土地の購入からプラン完成までの道のりを、おふたりからうかがってきました。

vol.1:決め手は、メンテナンスを含めた堅牢さ

── はじめに、おふたりがヘーベルハウスにご相談されたきっかけを教えていただけますか。

正浩さん:ヘーベルハウスに相談しようといったのは、じつは私の意見じゃなくて、妻の意見なんです。

── あ、そうでしたか。香苗さんは、なぜヘーベルハウスにしようと思われたのですか?

香苗さん:昔から良い評判を聞いていたこともありますが、いちばんの理由は「地震に強い」というイメージがあったからです。

── いわゆる「耐震性」ですね。

香苗さん:はい。はじめのころに「なぜヘーベルハウスの家は地震に強いのか」ということを、担当者の方にいろいろと質問したんです。そうしたら、耐震性の理論がすごくちゃんとしていて、どんな質問に対しても納得のいく答え方をしてくださいました。

そういった対応の良さと安心面から、「家を建てるならヘーベルハウスがいいかも」って思うようになりましたね。

正浩さん:夫婦ふたりとも考え方がすごく理系で(笑)。なので、納得できる答えがもらえないと不安に思っちゃうんです。

他のハウスメーカーもいくつかまわったんですが、ただ闇雲に「大丈夫です」というところや、納得いくような説明がなかったりで、不安が残ってしまっていました。

── ちゃんと説明されないままだと、やっぱり不安を感じますよね。

香苗さん:あと、耐震のことだけじゃなくて、メンテナンスのこともちゃんと考えているというのが決め手でしたね。

どんなに最新の外壁や設備でも、何十年か経ったらやっぱり傷んでくるわけで、ヘーベルハウスはそのこともちゃんと考えていて、ノウハウもちゃんとあるというのが安心感につながったんだと思います。

正浩さん:メンテナンスも含めての堅牢さですからね。メンテナンスのことを考えるのは、その家に長く住みたいからで、耐震性と同じくらい大切なことだと思うんです。間取りはあとからでも変更できますが、構造はどうすることもできませんからね。

長期戦になってもいいから、納得いく土地を見つけたかった。

── 現在の土地はどのようにして探されたのですか?

正浩さん:乗り換えせずに職場へ行ける、いま住んでいる近辺にしぼって土地を探しました。2010年ぐらいからTDOに相談をしていて、いくつかの土地に対してプランを出してもらっていたのですが、なかなか成約には至らずで......。

なので、途中からは「長期戦になってもいいから、まずは納得のいく土地を見つけよう」という戦略に切りかえて、不動産情報をずっとチェックしていました。といっても、チェックしていたのは妻なんですが(笑)。

── この土地に決められた理由というのは?

香苗さん:私がもともと地学を勉強していたので、どうしても土地の地盤が気になってしまって。耐震のことを考えると「台地」がよかったので、売出し中の物件を見つけては、地形図を重ね合わせて台地の土地を探していました。

正浩さん:地図上でいい土地が見つかっても、実際にその場所に行くと「けっこうジメジメしてるね」とか「日当たりが良くないね」とか、そういうところも多かったですね。

そうやって地道に探しているときに、たまたま条件のそろった現在の土地に巡り合いました。それが2016年のことなので、土地を探しはじめて足かけ6年ぐらいかかりましたね。

設計は、絶対に荒川さんに頼みたかった。

── 土地も決まり、いよいよ設計に入るわけですが、ここの設計はTDOの荒川圭史デザイナーが担当しました。デザイナーはご指名だったそうですね。

香苗さん:もともとモデルハウスでよく見かけるデザインには興味がなかったんです。あんなに広いおうちを建てるわけじゃないし、むしろ小さいほうがいいなって。

それでネットを見ていたときに、たまたまヘーベルハウスで小さいおうちを建てた方のブログを見つけたんです。そのおうちがすごく素敵で、主人に見せたら、主人もすごく気に入っちゃって。その家を担当されたのが、今回お願いした荒川さんでした。

── 具体的には、どんなところが気に入ったのでしょうか。

正浩さん:荒川さんのデザインは、奇抜ではないんだけど、いつもちょっと斬新なアイデアが入っています。やりにくそうな問題のある土地を、面白いアイデアを使って光をうまく取り込んでいたり、風の通りを計算していたりと、自然の取り込み方がすごく上手な印象を受けました。

香苗さん:そのあと、荒川さんが実際に設計した家の内見ツアーに参加したんです。その空間を肌で感じながら、住んでいる方の説明を聞いたり、設計エピソードを聞いたりしているうちに、ますます荒川さんのファンになって、気がついたら「絶対この人に頼みたい」って、そう思うようになっていましたね。

vol.2:ちょっと"微妙"だった「ファーストプラン」

── デザイナーの荒川からご提案させていただいたファーストプラン。第一印象はいかがでしたか?

香苗さん:もともと私たちが見ていた荒川さんのデザインは、奇抜じゃないんだけど、アイデアがあって、ちょっと"普通っぽくない家"が多かったんです。そういうのを期待していただけに、最初にご提案くださったプランは、すごく普通っぽくて、あまり魅力的に思えなかったんです。

── おふたりが期待していた方向とは、すこし違ったわけですね。

正浩さん:そうです。そもそもこの土地は形も場所もいいので、特別変わったことをしなくても、普通に、住みやすいプランになるんですね。でも、私たちはこれまでの荒川さんの「ちょっと変わった家」を見てファンになっていたので、ふたりで「あれ、なんか普通だね」って。

あとで荒川さんがおっしゃっていたのは、プレゼンのときの私たちの反応があまりに薄かったので「これはまずいぞ」って思ったそうです(笑)。

── そのあと、荒川とはどんな話をされていったのですか?

正浩さん:その場で自分たちの要望を荒川さんに伝えました。もうちょっと空間的なつながりがあって、それでいてある程度仕切りもあって、相手の存在は感じられるけれど、視線は遮られていて......といった空間のイメージです。

それから「屋上が欲しい」ということ。ただし、スペースの問題があるので、らせん階段かハシゴにしないと無理だといわれました。でも、どちらも高齢になったら上り下りが大変ですよね。そこで思いついたのが「じゃあ、屋上までエレベーターを通してみたら?」というアイデアだったんです。

── それも家の真ん中に、1本の柱のようにして。

正浩さん:この家のランドマークみたいにして、その周りを飾り棚みたいにしようって。そのアイデアを荒川さんから聞いた瞬間から、打ち合わせがかなり盛り上がって、すごくワクワクしたのを覚えています。

── アイデアがひとつ出たことで、向かうべき方向性が明確になったわけですね。

正浩さん:エレベーターを真ん中に置くことで、空間としてのおもしろさだけじゃなく、私たちが要望していた、ある程度仕切りがありつつ、空間的にはつながっていて......、ということも同時に実現できるぞってなって、そこから一気にプランが魅力的になっていきましたね。

自分たちの生活に照らし合わせて考える。

── 大枠の方向性が決まったあと、具体的にデザイナーに相談したことはありますか。

香苗さん:まず、キッチンを広くしてほしいということ。それからトレイですね。トイレを1階と2階のそれぞれに設置したいと伝えました。

正浩さん:もともとの提案では、リビングのある2階にはトイレがなかったんです。でも、夫婦で話しているうちに、生活のメインが2階になるんだったら、やっぱり2階にもトイレが欲しいねって。

それで次の打ち合わせのときに荒川さんに相談して、どこなら設置できるかをいっしょに話し合いました。実際に住んでみても、2階にトイレをつくって本当に良かったと思います。

── 寝室は1階にありますが、最終的にはかなりコンパクトにされています。ここはどのような話し合いがあったのでしょうか。

香苗さん:以前、賃貸に住んでいたときから「寝室は寝るための空間」と割り切っているので、ベッドがちゃんと入って、普通に歩くスペースがあれば十分なんです。寝室は本当に寝るときしか使わないので、照明もほとんど点けないくらいなんです。

正浩さん:はじめのプランでは、寝室のスペースはもっと広くて、大きな窓が2面あって、そこから庭に出られるようになっていました。でも、妻は虫が大の苦手だし、寝室から外に出る必要性も感じられなかった。なので、そのことを正直に荒川さんに伝えて、いまのプランに変更してもらったんです。

── 自分たちの生活に照らし合わせて、いるものといらないものの判断がとても明確だったんですね。

正浩さん:そうですね。「いる、いらない、こうしたい」っていう、カチッと決まっているところは荒川さんにお伝えして、それにしっかりと応えていただきました。

逆に、まったくイメージできない部分は、荒川さんを信頼してすべてお任せしました。自分たちが譲れないところと、お任せするところのメリハリは、かなりハッキリしていたと思います。

vol.3:照明のこと、インテリアのこと

── 北欧デザインで統一されたインテリアのなかでも、ルイス・ポールセンの照明が一際目を引きますね。

正浩さん:ルイス・ポールセンのことは、インテリアを担当してくださった赤堀さんに勧められて初めて知りました。ダイニングのペンダント照明(エニグマ)も、当初はまったく予定していなかったんです。

でも、ものは試しということで、一度ショールームに行って照明セミナーを受けたんです。そうしたら、ものすごく緻密な計算をもとにつくられていることが分かって、「照明ひとつでこんなにも雰囲気が変わるんだ」って、もうビックリしちゃって。

香苗さん:もともとはダイニングもリビングも「ダウンライトだけでいい」くらいに思っていたんです。でも、ショールームに行ったら、コロッと意見が変わって、その場で「これを家に入れよう」って(笑)。なので、もし実物を見てなかったら、たぶん天井の照明はダウンライトだけだったと思いますね。

── インテリアはどこまでオーダーされたのですか?

香苗さん:照明も家具も、全部いっしょにお願いしました。赤堀さんは私たちの好きなものをすごく理解してくれていて、もうほとんどがお任せでしたね。

キッチンのタイル選びのときも、ネットですごく気に入ったタイルを見つけたんですが、ちょっと変わった形だったので、提案しても却下されるだろうなと思っていたんです。そのことを誰にも言ってなかったのに、打ち合わせで赤堀さんが用意していたのが、まさに私が気になっていたタイル! それからは「もう、赤堀さんに一生ついていきます!」という感じでした(笑)。

これから家を建てる方へのアドバイス。

── 最後に、TDOで新築をご検討されている方へのアドバイスはありますか。

香苗さん:自分たちの家づくりを振り返って思うのは、「この空間は気持ちいいな」とか「この空間はちょっと落ち着かないな」とか、そういう自分たちの好みの空間を知っておくこと。そして、その好みを夫婦で共有しておくことでしょうか。

── おふたりはどのようにして、その感覚を共有していったのですか。

香苗さん:私たちの場合は、実際の住宅の内見ツアーに行ったことが大きかったと思います。主人といっしょに何軒かツアーをまわって「あの家の、あそこが良かったね」とか「あのリビングは気持ちよかったね」とか、ふたりで何度も感想をいいあっていました。

── 図面や写真だけじゃなく、実際の空間を体感することは大切ですよね。内見ツアー以外にも、お友だちのおうちやモデルルームの見学でも、そういうことはできそうですね。

正浩さん:そう思います。私たちもいろんな空間を体験していくなかで、どこかの時期から「仕切りはあるんだけど、完全に仕切ってなくて、空間的につながっている」というイメージを共有していった気がします。

いろいろ見てまわって「こういう感じが自分たちは好きなんだ」みたいなものを、すこしずつストックしていくのがいいのかもしれませんね。

香苗さん:私たちの場合、家が完成するまでの期間も長かったですからね。感覚の共有という意味では、それがかえって良かったように思います。

プランの細かいところは、具体的にならないとイメージできないと思うので、まずは空間に入ってのファーストインスピレーションを大切にしてみてください。おうちの使い方も、人によって違うと思うので、自分の生活にあった気持ち良さ、心地よさみたいなものを探るところから、家づくりをはじめてみるといいのかもしれませんね。

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