CASE #121 板橋区の住宅(エレベーターシャフトがセンターコアになる家)
- 設計:
- 荒川 圭史
- インテリア:
- 赤堀ゆか
- 竣工:
- 2016年3月
- カテゴリ:

一種低層地域の30坪の敷地で容積率・建ぺい率は80/40、かなりきつい規制がかかっているエリアです。ということは逆に周囲にはそこそこ空地があるということになります。 特別に高密度でもなく、かといって絶対的に開いた方が良いという方向もなく、まんべんなく空地があるという印象を受けた土地に、どんな建て方をするのがいいのかということを導き出すのがこの計画のポイントです。

センターコアというゾーニング手法があります。有名なところではミースファンデルローエのファンズワース邸はなじみが深いでしょうか。比較的大きな計画に適しているといわれていますが、この決して大きいとは言いにくい平面形状の中で真ん中にホームエレベーターのシャフトを貫入し、そこに4面それぞれ別の機能をはりつけて、その周りに居住空間を作っていくという手法をとると案外面白い空間が出来上がりそうだと思い、お客様に全然別のプランをプレゼンしているさなか、あまり受けがよくないなと思いながらその場でこんなスケッチを書きました。こうするとファンズワース邸のように全ての面を外部に開いていくような形も可能になっていきます。

エレベーターシャフトの周りをぐるりと造作家具で囲い、天井までは到達させないようにして、上部に間接照明を入れるとシャフトが床面を貫いている様には見えなくなり、天井がつながって床が浮き上がっているように見えると面白いかな、というようなことを考えていました。

センターコアとなっているエレベーターシャフトまわりの造作家具図面。

リビング空間の真ん中に上部が照明器具のようになったコアとその周りにルイスポールセンの照明器具が浮いているような不思議な空間が出来上がりました。 メインで見えている面はTVを収納する機能を持たせています。

別の方向から見るとこのようになっています。階段室側には、趣味の楽器を置くスペース。ダイニング側にはダイニング周りで必要になる小物を収納するための棚がついています。

コアの周りの面を中心に機能が少しずつずれていくのがわかります。

イメージ的には周囲は全てガラス面で、そこにブラインドを下し、上部の視線はカットしてその外側にベランダを設け、そこは植物の置き場とします。最外周の手すりはいつもは透明のパネルを使うことが多いのですが、今回は腰壁として夜そこに照明を入れるような計画をすることにしました。開口部、ブラインド、植物、腰壁を組み合わせて、周りとのインターフェイスを作っています。

実際に出来上がったインターフェイスとなる空間の写真です。

DKのつながり。

ルイスポールセンの照明器具が3つ暗闇に浮かび上がっているような空間になっています。 お客様は今回インテリアを担当した赤堀に薦められルイスポールセンのショウルームで照明の講習イベントに参加され、すっかりはまってしまったようです。

それほど余裕のない空間をうまく使うためには、空間を上下に分けて反対側から使い合うというような手法はたまにやることがありますが、今回はそれがかなりうまくいった例だと思います。

小さなカウンターを作ったり、下駄箱の上をカウンターにしたりWICと書斎の上部を抜いて天井を寝室とつなげたりというような工夫をして行くことで、ミニマムな寝室が息苦しくならないようにしています。











