明るさシミュレーション
2011年6月 2日 15:49
東京デザインオフィスの荒川です
松尾さんがフェースブックに撮影風景を載せていたので、詳しい話は
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30 |
2011年6月 2日 08:03
東京デザインオフィスの荒川です
今回は不本意ながら私が計画を進めた3階リビング案の話です。
一方私はというと、3階リビングは良いに決まっているけど、非常に
単純な空間構成になってしまい面白くもなんともない家が出来てしま
うかもと考えていたものですから、当初あまり考えが進みませんでし
た。ただこの担当を入れ替えるというやり方、一度納得してしまえば
逆にだんだんそのほうが良くなっていってしまう不思議な力を持って
います。ディベートのやり方にちょっと近いかも知れません。ディベー
トの場合最後まで自分の考えと相手を打ち負かす理論とがかみ合わ
ないのかも知れませんが。チームデザインのこのやり方の場合別に
相手を打ち負かすと必要もなく、逆に話をしている間にまたチェンジ
ということも多々あります。
いずれにしても何とか三階を主空間とした面白い計画を作ろうとしてい
たのですが、この場所はやはり二階では絶対的な太陽光が不足してし
まうだろうという考えがどんどんふくらみ、最上階なら天窓を取れるし、
コモドを使うというアイデアも面白いと思い始めていました。加えて梯子
で屋上に上がるペントハウスを設けそこからも光を取り込もうと考え始
め、この頃になると、一変して、もう三階で生活したほうが良いに決まっ
ているじゃん、とまで考え始めるようになっています。
南北に風を通し、唯一普通に採光が確保できそうな東面にめいいっ
ぱい大きな窓をとり、南のベランダにはコモドをつける。ついでにペン
トハウスというか、ひかりを取り込む為の箱を屋上に設置して、そこか
らの光をリビングとダイニングの間の壁ににじませる。そんな計画でし
た。
外観はベランダが平行にかさなり、漢字の三の字の形になるのは、
あまりにも安易な形になってしまうので、建築面積に算入されないよう
に右と左に壁を儲けS字の一筆書きの様な形にすることにしました。
北側からは、裏の何階立てかわからないくらい大きなマンションの壁や
窓に反射した光を拾おうと、北側にも大きな窓を設けています。北側の
住戸の方に迷惑を掛けないようにする必要はありますね。
平面計画的には、1階はガレージと洋室1、2階は水周りと洋室2と3、
3階はLDKという構成で、共稼ぎで二人で住む場合は例えば1階は
SOHOで二階の二部屋分のスペースを主寝室にするとか、以前は当
たり前だった子供二人の4人家族の場合は、二階は子供部屋二つと
か、間取りはかなりフレキシブルになっています。ただコンセプトをメ
ンバーに説明したときに、用事があって一緒にきていた商品企画の
工藤さんから、今回も光とかぜがテーマなのはいいんだけど、でも実
際にあんまり明るくなさそうだし、本当にこれでいいの、ほかにテーマ
ないの、いっそのこと暗い家でも作れば、と半分冗談の様な厳しい話
もあり、これはいつも通りに形や吹き抜けや窓のとりかたを工夫して、
ほらこんなに明るい家が出来ましたね。という話でもないなと正直か
なり困惑していました。品川かぜのとうの考え方の延長では、解決で
きないかも知れません。工藤さんはいつも明確にこうすればというよ
うな話はしてくれませんが、よく考えるとそうだねという話はよくしてく
れます。吉村君がKOMAZAWA modelの計画をしていたときは、
はっきりと門型のイメージをもらったのですが、岩井君と駒沢第三
ステージをやっているときにはソットサス、これが一番わかりにくかっ
たですが、瀬田のときはTUBAのトランスフォーム、新宿モデルでは
アドルフロースのラウムプランそして今回は暗い家、いつも何かしら
手がかりをもらっていますね。そして今白金のほかにも、岩井君の
自邸を通常のフレックスでは出来ないラウムフレックスというスキップ
フロアーが出来る躯体を使って試験的な計画をしています。この話、
もう少し現実的になったら、お話出来ると思います。
2011年5月30日 22:52
東京デザインオフィスの荒川です。
今日5月30日はインテリアの方針を決めるので、インテリアセンター
から小野さん,商品企画から工藤さん、富士の技術研究所から光の
研究をしている菅野さんと忙しい方達が時間をとって集まってくれま
した。今回の計画での暗さや明るさの捕らえ方やその対処の仕方、
この状況の中でどうすれば心地よい場所を作ることが出来るのかと
いった内容を小野さんが考えてきてくれたインテリアの計画の方針を
聞きながら検討していきました。
なにをすればいいのかがだいぶわかってきた気がしてきました。
午後には模型を持って現地へ行き、内部を目視したり、写真を撮った
りして、明るさや心地よさの現地での実際の光でシミュレーションを
行いました。ちょうどその時間から晴れ間も見え始め、ラッキーでした。
このあたりの話は後日詳しくお伝えします。
時間をさかのぼること約3ヶ月。3月7日に東京デザインオフィスが浜松
に合宿に行きました。マルホンのショウルームの様子などブログでも紹
介していますが、ショウルーム見学の後、白金高輪街かどのプラン方
針会議があり、私と岩井君で考え方のプレゼンテーションをしました。
前日岩井君と遅くまで打ち合わせをしていましたが、私は当初日常の
動線の負担を考え、リビングは2階にしたほうがいいと考えていました。
逆に岩井君は明るさを優先して3階にリビングを持っていったほうが良
いのではないかと考えていました。
このやり方はSDO時代から良くやっているのですが、ここで担当を入
れ替えるということを今回もやってみました。
基本案の作成は私が3階リビングで、岩井君が2階リビングの案を考え
ていきます。この時の案をご紹介します。
2階案①
北側を向いていても、全面ガラスで明かり障子を入れておけば、
かなりいい感じになるのではというのがこの案の基本的な考え
方です。
さらに階段上部のスカイライトから3階を跳び越して、2階へ光を落と
そうということも考えています。こんな空間を作って見たかったという
ことですね。3階のこの位置にお風呂を持ってくるという考えは当初
から確定的にそうしたいと実際に思っていました。この計画は2階の
北側の大きな光壁と三階の浴室の開放感が売りだったわけです。
2階案②
さすがに3階レベルなら南から光が入るだろうという希望的観測から
リビングの南側上部に大きめの吹き抜けを設けてここから、採光を
確保したい時に縦の空間の連続性を生み出したいというのが、この
計画の骨子なわけです。池上の住宅の解き方に近い考え方です。
2階案③
岩井君このときもう一案持ってきていました。
外部に南北に長い吹き抜けを設けを外部に採りそこにひかりを呼び込ん
で各階に光をまわすという案です。どちらかと言うと、品川かぜのとうに近
い考え方です。疲れたので今日はここまで。岩井君今回もプレゼンの図
面は青インクでしたね。続きはまた。次回は3階リビングの話です。
2011年5月29日 20:50
東京デザインオフィスの荒川です。
半年くらい前井の頭通り沿いにちょっと気になる共同住宅を見つけま
した。DAINAC吉祥寺というマンションです。
住居部分と街路のインターフェイスがうまくいっている実例ってなかな
かないと思いますが、これはいいかもと思っていました。
ベランダの先端にパンチングメタルの様な穴の開いたブレードが左右
に動く雨戸の様なものが付いています。見え架かりも綺麗です。夏には
遮熱効果も発揮してくれそうです。このテクスチャーで外観が決まってし
まう感はありますが。綺麗なのでよいと思っていました。
ネットで探してみたのですが、既製品なのか、特注で作ったものなのか、
どこの商品かもわからずにいたのですが、今回白金の相談で商品企画
に行ったときに、向かい側のアパートからの視線も気になるので、そうそ
う窓を全開にも出来ないし、という話をしていたら、これ知ってると工藤さ
んが写真とカタログを持ってきました。
コモドっいいます。ちなみにコモドって言うのはスペイン語で快適って言
う意味だと作成メーカーの㈱トーエイの今泉さんが言っていました。
伊東 豊雄さんのアルミの家でも使われています。
中からはこんな風に見えるようですが、やっぱり実物を見てみたいと
当然思うわけで、ちょうどメンテナンスする現場があるということで、
実際に使われているところを見せてもらいました。残念ながら今回見
ることの出来たものは穴が開いていないタイプでしたが、動きの
スムーズさとか質感というようなところは把握できました。
出来れば実際にどのくらい透過するのかを見てみたいのでどこか確認
できるところがないか現在問い合わせ中です。
そんなわけで、コモド使ってみようかという話になっています。
白金高輪街かど出来上がったらコモドがどれくらいの効果を発揮する
のか、ぜひ見に来て下さいね。
2011年5月27日 22:20
東京デザインオフィスの荒川です
とにかく、日照はあまり期待できないし、天空以外に明るさを期待で
きる方向も限られているということはよくわかったので、とりあえず
想定した家族が必要な部屋数を確保して、暗くてあまり居心地は良く
なくても、港区に住むわけだしそれは仕方がないよね・・・・・・・・。
なんて話ではわざわざこの場所に計画する意味がそもそもないし、
とりあえず何か面白い話がないか、商品企画部に相談に行ってみま
した。
環境共生の様なのもやっているけど、今回はそれがメインのコンセプ
トになるような気もしないし、とりあえず周囲の状況をわかってもらうた
めにARIOSでシミュレーションした結果やグーグルの写真などを見て
もらいました。しかしひどいね。何でわざわざこんな土地に計画するの
というようなことを言われましたが、みんなそういいますね。っていまさ
らそんなこといっても仕方ないし、何とかなりますよと言ったったのは、
私ですし、支店長も港区に建てたいという思いは強かったしい・・・・と
ごにょごにょ言っていましたが、ここはきっぱり。今回のような敷地で
も都市型住宅ヘーベルハウスなら快適な住まいは出来るんです。と
言い切りたいですよね。というかなり強引な話をしながら、やっぱり
最上階にスカイライトがほしいですよね。何とかなりませんかね。
という話で切り返し、部長の山岸さんも、やっぱとヘーベルハウスには
こういうのいるよねと共感してもらい、やってみますかという話になりま
した。サイドに長く切り込みの入ったスカイライトを持った空間は、都市
型の住宅で建築家がよくやっている手法で、こんなの作ってくれという
実は私もかかわった新宿モデルには実はすでにこんな空間が実現さ
れているんです。ここには結構大胆なスカイライトが計画してあります。
このモデルの基本計画はそもそも商品企画の工藤さんがしたもので、
私が新宿支店に半年いた間にやったことは、この基本計画のいいと
ころをプログラムやインテリアに落とし込む作業でした。そもそも新宿
モデルは都市のレジデンスがテーマで、ほぼ建物の全巾をスカイライ
トにした贅沢な空間とそれができる構造も売りの一つでした。
その光は新宿モデル以外にも、浜田山モデルや、最近紹介した中で
は蒲田駅のコンコースの光も同じ種類の光で成立している空間です。
じゃ白金でもやってみるかという話になり、最上階にスカイライトを設け
た空間が実現できることになりました。
この空間が気持ちのよい空間として多くの人に共感してもらえる様に
なれば、スカイライトも量産してコストを下げることも可能になり、都市
型の質の高い空間を今より安く作ることが出来るようになるはずです。
2011年5月26日 22:30
東京デザインオフィスの荒川です。
街かどヘーベルハウスの計画の話とは直接関係はないのですが
ちょっとおまけです
大田区の建築指導課に相談に行く用事があり、ここ数日で二回
蒲田に行きました。最近はちょっと気になったことはとりあえず写真
に撮っておくのですが、これを見てください。
向こうに見えているのは蒲田駅のJRのコンコースです。向かってい
く先がかなり明るく見えています。新宿モデルのスカイライトの下や
浜田山モデルの洗面所と同じ種類の光に満ちていて、とてもいい
感じに見えます。実際に真下まで行ってみると空間全体が明るく影
が出来にくい状態になっています。
この不思議な感じは陰影がフラットな感じになることによって生じている
ような気がします。コンコース全体を覆う光天井が空間全体にものすご
い量の光を振り注いでいる感じです。ただ数日前にこの場所に来たとき
の印象とは少し違っていました。
写真は26日天気はよく外はこんな夏の様な青空です。数日前の来たと
きのものはこっち。
この日は雨が降っていて、そらはどんより曇っていました。晴れた日の
ほうが光の色が暖かく、なんとなく安心感がある光でした。一方曇りの
ほうも光の量そのものはかなりのもので、すごく明るいのですが、なん
となく、寒々とした空間になっていました。天空の輝度はくもりの日のほ
うが高いという話を聞きますが、晴れている日は、テントが直射光も拾
い、光障子のようにテント自体が直射光を拡散し、その光によって温か
みのある天井に見えているような気がしました。カメラのホワイトバラン
スの問題もあると思いますが、実際にその場にいた印象と写真の
イメージは近いと思います。
いずれにしても、普段体験している類の空間とは異なる印象を持った
空間になっています。こんな話も白金高輪の計画の参考になっていま
す。蒲田のコンコース行くことがあったら、ちょっと天井を見上げてみて
下さい。
2011年5月22日 18:24
東京デザインオフィスの荒川です。
とりあえずシミュレーションの画像をご覧下さい。先ずは夏至一日の
日照を鳥瞰で見ています。
今回の計画での最終兵器ともいえそうな最上階のスカイライトですが、
空を切り取って熱はいれずに天空光だけを取り込みたいのですが、
夏至ともなるとかなり日照が入り込んでしまいます。夏の遮熱を考える
必要がありそうです。しかし夕方恐ろしい大きさの影が襲ってくるようです。
次は夏至の室内です。
朝のうち一瞬東側からの日照があるのですが、それ以降はスカイライト
からの日照以外には日は入っていないようです。夏だからそれでいい
のですが。またこのシミュレーションはあくまで日照のシミュレーションな
ので、天空光での明るさまったく反映されていなません。なのでこの
映像から明るさや気持ちのよさを語ることはできません。
次も夏至ですが道路からの外観です。
昼過ぎに一瞬日照があります。それ以降まったく日は射していません。
最後は背後のマンションの恐ろしい影に包まれてしまいます。
最後は冬至の道路側からです。
日照時間や光の移り変わりは夏至と大きく違わないようです。
日照の期待できない敷地で人口の照明ではなく天空光に頼った
気持ちよさを持った空間が作りたいんだということがだんだん
見えてきました。
建物を計画する際に先ずやっていることは実際に現地に行って
しばらくそこにいたり、周辺を歩いて街の雰囲気を体感してみたり、
要は自分の意識の中にその敷地の印象を埋め込んでいくという様な
作業なんですが、白金高輪のような敷地は今まで経験し
たこともなく、いまだに明確なイメージが作れないでいます。
富士の研究所で住宅の中の光の研究をしている菅野さんにもいろいろと
話を聞いてもらい、ARIOSより本格的な日照と明るさの
シミュレーションをしてもらうことになりました。
今回はその画像が届いたので紹介させてもらいました。
何だもう計画が出来ているのかとお思いかも知れませんが、実は
そうなんです。ただ、明確なコンセプトに基づいて今の形が出来上
がったかというと、そうでもなく、逆に出来上がったものを模型やコ
ンピューターのシミュレーションなどを使いながら、考え方を再構築
しているという感じです。現在はそのイメージをインテリアの計画に
反映していくという形で作業しています。
TDOで住宅を計画するときに、最上位にあるコンセプトは気持ちの
よさなのですが、気持ちのよさを構成する要素の中で光はかなり大
きなウエイトをしめているわけです。極端な言い方をすると空間のデ
ザインをしているということは光の入り方をデザインしていることだと
いってもよいくらいだと思います。
今回一番わからないというか難しいのは、明るさと気持ちのよさの
相関関係がいまいち見えていないということなんです。暗いという
言葉には、気持ちの良くない場所というネガティブなイメージが
ダブっていると思います。ただ日本には谷崎潤一郎の陰影礼賛の
世界の様な、暗い側の心地よさというものがあるのも事実だと思います。
明るい側の気持ちのよさを作っていく経験はかなりしているのですが、
今回のように光の総量が限られていている場所で、
それを気持ちのよさに結び付けていくという作業はほとんどしたことがなく
戸惑っているわけです。
暗気持ちいい場所、そんなイメージを言葉と形にしたいと思っています。
2011年5月14日 11:44
東京デザインオフィスの荒川です
フェルメールの地理学者を見た後、出口付近のショップで謎解
きフェルメールなる本も買い込み、ちょっと頭の中を整理しよう
と中庭のテラスに出てみたのですが、なんとなく違和感があると
いうか、別に居心地が悪いわけではなく、逆にどちらかというと
居心地はいいのですが、不思議な感じがする場所でした。
とりあえずコーヒでも飲みながら頭の中を整理しようとテラスのテー
ブルに座ってぼんやりしていました。周りを見ていると、屋外なんです
が、明確な影が出来ていません。ああ、と思い出したのが、新宿モデ
ルのスカイライトの下に作ったワークスペースや浜田山モデルの洗面
所の明るさと、以前工芸展で文星大学の林先生から聞いた太陽が真
上にあると影が出来ないという話。
こういう井戸の底のような空間では直射光は入りにくく基本的に天空
光もしくは反射光で空間が満たされることになっているんだということ
に気が付きました。まあ真夏正午くらいだとほぼ真上から日照もある
のだと思いますが。ちなみにこの空間のD / Hは4 / 1くらいのプロポー
ションでした。
アトリウムを取り囲んでいる素材はほぼガラスとラスタータイルと
いう釉薬に金属を使っている?タイル。鯖の肌のようにきらきらと
いうかぬらぬらというか光が反射します。
昔誰かがサバタイルといっていました。なるべく底まで光を入れたい
という考えで、こうしているんですね。
太陽や雲の動きによってたまに明るさが変わります。
で床をよく見ると・・・あれれ不思議なことに今度は影が出来ています。
上を見上げても太陽は見えません。
ただ外壁に取り付けられたスポットライトがきらっと光っているのがわ
かりました。
こんな昼間に、それもこんなにいい天気なのに何故ポットライトなのか
と不思議に思っていたら、このライト天空の明るさに連動して光の量が
変化します。はじめ暗くなるとセンサーが働き補助的にライトが点灯す
るのかとも思いましたが、どうも逆なんですね。空が明るくなるとスポッ
トライトがふわーっと強くひかり出し、床に影が出来るんです。よく考え
てみると、これは電気の照明ではなく集光装置で集められた太陽光そ
のものだということにようやく気が付きました。
しかし、この場所を設計した人たちはこの空間の明るさがよほど心配
だったのでしょうかね。ラスタータイルだけでなく、おまけにこんな設備
まで導入していたんですね。
面白いので、文化村に行くことがあったらぜひ見てみてください。個人
的な趣味の話で言うと、この周囲の仕上げはもう少しマットな感じでも
良いのかなと思いながらも、とても気持ちのよいテラスで子供の頃何
か大変な秘密を見つけた時のような気がして、フェルメールのことも
なんとなくわかったような気がして(あくまで気がしているだけですが)、
天空光がとても重要なものだということを改めて意識出来たことも含
め、何かとても得をした一日に思えました。
白金高輪のあの日照が厳しい土地も、天空光をうまく取り入れて 行く
ことで気持ちの良い場所にすることが出来そうだと、ちょっとだけ希望
が見えてきた気がしました。
2011年5月12日 20:27
東京デザインオフィスの荒川です
どうやらこの敷地は普通の場所に比べてかなり日当たりが悪い、そ
れも近隣の状況だけでなくもっと広い範囲の影響がかなり大きく、
ちょっと吹き抜けを設けて上部から日照をとるというよな手法では、ど
うにもならなそうだということがだんだんと理解できて来ました。
いやもともとわかってはいたのですが、状況証拠をたくさん突きつけ
られて、もう自白するしかない犯人のような状況だったのかも知れま
せん。
ということで、お題目のように光と風という話をしていても、白々しくな
るばかりで、この土地はとにかく日照は少ないということをようやく受
け入れることが出来る様になりました。
受け入れた上で、直射光ではなく、天空光を頼りに、どうすれば居心
地の良い場所を作ることが出来るのか、ということが、今回の計画の
おおきなテーマになりそうです。
いずれにしても光は窓以外からしか入ってくるわけもなく、窓からの
光といえばフェルメール。
ということで、以前牛乳を注ぐ女を見逃したなと思いながら、駅に貼っ
てあるフェルメール展のポスターを見ると、東京発上陸。フェルメール
《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展。~5/22(日)今まさにやっ
ているではないかということで、文化村に行ってきました。
来週末までやっていますね。
この当時17世紀のオランダに電気による照明は当然あるわけもなく
何をするにしても窓から入ってくる太陽の光が、頼りなわけで、当時
の絵をみることで、何か見えてくることがあるのではないかと、ちょっ
と期待して見てきたわけです。
窓から室内に入り込んだ光はどこにどう反射して結果としてどう明る
さを感じていたのか、かなり忠実に絵の中に再現されているはずだと
思いかなり長い時間《地理学者》の前に立っていたわけですが結局た
いしたことはつかめなかったわけですが、この窓から入っていた光は
そもそも直射光なのかそれとも天空光なのかという疑問が沸いてきま
した。最近完成した浦和区の住宅では、北側にかなり大きな開口を設
け、室内はその窓から入ってくる光で満たされています。直射光のよう
に直線的な影は出来ませんが、やはり影はしっかり出来ます。地理学
者の絵も方位はわかりませんが、もしかしたら天空光を頼りにした窓な
のかなと思いました。
しばらくするともう一つ、気になる絵がありました。こちらはフェルメール
ではないのですが、ピーテル・ヤンセンス・エリンガという画家の絵です。
買ってきたポストカードをSCANした画像ですが、本当に光が当たって
いるように見えます。
フェルメールの光の空間に影響を受けた画家らしいのですが、やはり
窓から光が入り込み、思いもよらぬ方向に影が出来たりしています。
こちらの光はかなりシャープなラインがでていますので、おそらく窓から
直射光が入り込んでいる状況なのだと思います。まあ嘘を書いている
とも思えないので、正面の壁に出来ている椅子の陰は窓から入った光
が壁に反射し、その光が椅子の陰を作っていると考えるしかないので
すが、いずれにしても、この鋭角な感じの光より、地理学者のやわらか
い光のほうが見ていて心が落ち着く気がしました。間接照明読本という
本の中で、照明のデザイナーの面出さんも一貫して、強い光と影の世界
は緊張間を生み、北側の天空光のやさしく穏やかな光が住宅には適し
ているというような内容の話をされています。そんなわけで、日照は少
なくとも、空を見上げれば必ずそこに存在している天空光を頼りに気持
ちのよい住宅は作ることが出来るはずと、だんだん思い込むことが出来
るようになってきました。
2011年5月 9日 17:37
東京デザインオフィスの為田です。
今日のミーティングでも、名前を考えたが、持ち越しとなった。
「かぜのとう」「おたがいさま」に続くのは、はたして何か?
真剣な会議より、雑談や飲み会から生まれてくるかも、、、。
と、得意の先送りだな。
そのミーティングに備えるために、先日、街を歩いた。
白金は、「しろかね」と言うのが、どうも正解らしい。
シロガネーゼっていうから、間違えてしまうのかも。
白金高輪といって、先ず思い浮かぶのは、駅直結のプラチナタワーだ。
名前で、億ションであることが、イメージ出来てしまう。
オフィス棟と、マンション棟に加えて、工場棟があることは、
地権者との合意形成が、難航したことだろうと思う。
最寄のバス停も同じ名前なのだけど、
「ラン」の漢字変換ができないのは、僕の力不足か。
「プラチナ」 と、 「ギョランザカシタ」 の、このギャップは何だ!
我々は、そのどちらに属するのだろうか。
「プラチナ」が、「レジデンス」の、
「ギョランザカシタ」が、「レジスタンス」の同意語に
思えてくるのは、僕だけか。
等などと考えながら、夕方の交差点に立ちすくんでいると、
お母さんが運転する高級車が、次々と停車し、小学生が降りて来て、
ビルに吸い込まれて行く。
地方出身の僕には、この数字の本当の意味がわからないが、
それでも凄そうだと思って、カメラを向けた。
今、隣りの席の水谷に聞いたら、やはり凄そうだ。