TOKYO DESIGN OFFICEの荒川です。
今回は松原のおたがいさまハウスⅡです。
松原のおたがいさまハウスの話の前に、おたがいさまハウスの考え方、作り方を
お話しします。
1.はじめに敷地分割ラインを引かない。
わざわざ自分で制約条件を作る必要はないからです。
2.敷地全体の中に、よりどころになる空地と緑地を何箇所か配置する。
外部を含めた敷地全体の中で、建物のプランを考えるようにする。外部と建物内部
を同時に同じ密度で計画を進めて行きます。
3.道路境界にも敷地分割ラインにも機能的にどうしても必要な場所以外には塀や門扉は
作らない様にします。
4.どうしても街路との距離が小さくなり、プライバシーが保てなくなる部分には、思いっ きり
窓が開けられるよう に、格子のインターフェイスを挿入します。
5.道路に接する部分は、樹木を植えられるスペースをなるべくたくさん作り両隣へ ミドリ を
つなげて行くことを意識します。
こうすることで、街全体にミドリがつながって いきます。特に角地で辻になるような場所
にはランドマークになるような樹を植えるようにします。
お手本は安部勤さんの自邸です。開放感があって、おおらかで、潤いのある場所が
生まれています。ってみたことないんですが。多分そうなっているはずです。
6.敷地の中に作った空地に植えた樹木や周辺の樹木に向けて窓を切り取っていきます。
同じ空地の同じ樹木を二軒の家からの視線が正対しないように開きます。
7.建物同士のプライバシーは窓の開け方を上下に切り分けるとか、平面的にずらす
とか、視線が正対しないように窓をきっていくようなことを考え、どうしても目隠しが
必要そうな場所には、塀や格子を設けます。
8. 駐車スペースを縦列駐車で考える場合は少し斜めにして車と道路の間に三角形の
植栽 スペースを作り出します。車の横っ腹が見えなくなり表情が豊かになります。
こうやっておたがいさまハウスが出来上がっていきます。
はじめに境界線ありき、であったり、自分の敷地の占有権のみをかたくなに主張する
ということをやめれば、今まで見慣れた街が、まったく違った潤いのある美しい気持の
良い街に生まれ変わっていくはずなのですが、実際はそうなりません。
わかっていても出来ません。
日本の土地は家を建ててそこに住むという土地の本来的な目的以上に、経済の基盤
になってしまっているからでしょうか。何か制約があったり、形が長方形でなかったりする
と土地の価値が下がってしまいますから何も出来なくなります。そうやって東京の街は
がんじがらめになっているような気がします。
松原のおたがいさまハウス、
実現するかどうかわかりませんが、考え方に共感していただける方がいましたらたら、
ぜひ連絡下さい。
実際の土地の情報などは旭化成不動産㈱が対応させていただきます。
また長くなってしまいました。松原のおたがいさまハウスはパートⅢで説明します。