TOKYO DESIGN OFFICEの荒川です
昨年といってもつい最近の話ですが、パナソニックの照明器具のデザイナーの杉山雄治
さんの照明計画セミナーというか自邸の建築奮闘記のような話を聞きに行きました。
話はとても面白く、照明のデザイナーの方は大光電気の高木さんをはじめ面白い方が
おおいのでしょうか、それともたぶん関西系の方なので笑わせないと、という脅迫観念
があるのでしょうか、とにかく話は面白いでかったです。
高木さんの話は何回か聞いたことがあり、大光電気のTACTさんは独特の作り方をし
ているかもと思いパナソニックの方の話もぜひ聞いてみたいと思っていました。杉山さ
んのご自宅の計画を軸にお話をされていたのですが、最近われわれが考えている方
向とまったく同じ方向で考えておられたので、とても共感できる話ばかりでした。
一部の建築家の方々がやっているような手法がだんだん一般的になってきたような
気がします。基本的なスタンスは、高木さんも杉山さんも同じで、器具のデザインでは
なく、光をデザインされています。光源をどこにおいてどこを照らすのか、重要なのは
点源ではなく光を受け止める面がしっかり確保できているかどうかです。
こういった考え方で照明計画をしていくと、天井面にダウンライトの穴をポコポコあけて
いくということはやりにくくなり、基本は間接照明で進めていくという方針になっていき
ます。ただわざとらしさやくどさが見えないように計画していくのは結構難しいのですが。
今回はいつも教科書のように使っている本を二冊ご紹介します。
一冊は「間接照明読本」という本で、にっぽ電気㈱というシームレスラインという継ぎ目
の出ない蛍光管を作っているメーカーの編集でライテックプランナーズアソシエイトの
面出薫さんの監修で出版されている物です。間接照明のことはこの本一冊でほぼ把握
できると思います。
もう一冊は日経アーキテクチャから出版されている「高木英俊の美しい住まいのあかり」
という本です。こちらも住宅の照明計画を考えていらっしゃる方にはぜひお勧めしたい物
です。
最近自宅のアプローチ灯の修理をしたのですが、いかに光を受ける面が重要かというこ
とがよくわかる事例になっていると思いますので、ここに紹介しておきます。外部の場合、
受ける面がないと光は四方八方に飛んで行ってしまい、まったく明るさを感じることができ
ないのですが、住宅用のそれほど光量の多くないスポットライトでもこれだけの効果が出
せます。器具と壁の距離もある程度離れていたほうが効果があるようです。
実際の住宅の計画の中では、どこに光源をいてどこを照らすのかをこんな風に検討し
ながら計画を進めて行きます。