東京デザインオフィスの荒川です
先週22日の火曜に東京ガス主催の住まいの環境デザインアワード2011のシンポジ
ウムがあったので、岩井君と一緒に行ってみました。受賞者のプレゼンテーションの
後審査員によるパネルディスカッションが行われました。会場はいつもヘーベルハウ
スのインテリアフェアーをやっているOZONEのパークタワーホール。実は今日インテ
リアフェアーが同じ場所で開催されていたのですが、ずいぶんと雰囲気は違っていま
した。
グランプリをとったのは峯田 建+恩田恵以/スタジオ・アーキファームの石神井の家とい
う住宅でした。特別奇をてらうようなことはせずに素直に環境のことを考えそれが気持ち
のよさにつながっている、非常によく出来ている住宅でした。実は今回私も応募してい
たのですが、選ばれた作品はやはり考えていることが何倍も深いなと感じました。
作品に関してはデザインアワードのホームページを参照下さい。
第二部のパネルディスカッションのパネリストは審査員をされていたのは、あの塔の家に
住まわれている建築家の東 利恵さん。建築家のの小嶋一浩さん。ヘーベルハウスの
商品企画にも助言をいただいている東京都市大学の宿谷昌則先生。建築家の千葉学
さん。東京ガスの池田俊雄さん。エクスナレッジの澤井聖一さん。といったメンバーでし
た。入賞者のプレゼンテーションも審査員のパネルディスカッションもとても面白かった
です。でいくつか記憶に残っていることを書いておきます。
フランクロイドライの言葉に、「そこにその家が出来るまで、そこがすばらしい場所だと誰
も気づいていなかった」というのがある・・・ 千葉 学
これは落水荘を設計したときのライトの言葉だったと思いますが、ああそんな話があった
なと記憶がよみがえりました。その境地には到底届きませんが、自分がお客さまの土
地を見に行くときも、そういえばその場所がどんなすばらしい場所なのか結構必死に
探していますね。
窓を開けた瞬間にもわーとした空気が入ってくる感じがするのはあれは実は輻射熱
なんですよ。35度くらいの空気がかぜとして入ってきても実はそれほど不快ではない
んです。あれは窓を開けた瞬間に今までガラスが跳ね返してくれていた80度に近い
アスファルトやコンクリートのビルからの輻射熱が入ってくるからなんですよ。
宿谷昌則
少しわかった気になっていましたが、熱の話はまだまだ奥が深いですね。このあたり
を完全に把握すると本当に気持ちのよい家が作れるようになるような気がしました。
新築にリアリティーがないと前回の講評で言っていたが、自然とかだけでなく、古い家
もそれ自体が環境の一部だ。 千葉 学
敷地を見に行くと周囲に建っている住宅も公園の緑などと同じ様に評価していますが、
時間軸の問題をどう評価するかが難しいところだといつも感じています。でもそうやって
環境を読んで行き、そこに何かしら住宅を建築した瞬間にその住宅自体が今度は環境
の一部になってしまっているんですね。
エクスナレッジの澤井さんが今日本には5700万戸の住宅がありその内の800万戸が
空屋になってしまっている。という話をされました。それを受けて、
少なくとも、もうとりあえず新しい住宅を作るという時代ではない。ただやはり、新築が
見てみたい。 小嶋一浩
確かに一軒の家を建てるということに、もっと時間をかけて慎重に設計をしなければだ
めだよなっていつも思っていますね。
断熱の悪い100㎡の家はその50㎡しか使わないことになってしまっている。断熱を良く
して、住宅の環境を良くしていくと家は広くなるんですよ。 宿谷昌則
なるほど。その通りかも知れません。心地よさを語っていく上で、断熱性能は重要なファ
クターなんですね。そういえば昨日北浦和の住宅の現場に施工の打ち合わせに行って
いて感じたのですが、最近のヘーベルハウスの現場は、断熱工事が終わっていれば、
真冬でも天気が良ければ、昔のように寒くなくなった気がします。昔のヘーベルハウス
に比べて断熱性能は格段に良くなっていることが実感できます。ちなみに私の家も
ヘーベルハウスなんですが、昔のヘーベルハウスです。残念・・・・・・・・
こんな話を聞くことが出来ました。そんなことも考えつつ、今計画している白金高輪街
かどヘーベルハウスをいかに心地良い住宅に仕上げるかを真剣に考え始めました。