東京デザインオフィスの荒川です
今回は江戸東京建物園VOL.2です。
目的の一つだった前川国男邸を見て、とてもいい空間だけど、
住むんだったら大川邸のほうがいいかもなどと勝手なことを
考えながら、小出邸へ、恥ずかしながら堀口捨巳の住宅が
こんなところにあるとは思ってもおらず、設計者の名前を見
てびっくりしたというのが正直なところでした。
藤森照信さんは昭和住宅物語の中で「堀口捨巳は日本の
建築会の青春である」といっていますが、かなり特殊な状況
にある作品であることは間違いなさそうです。
続き和室です。でも繋がり方は普通の日本家屋の襖を介して
というのとはずいぶん違うつながり方をしています。
プロポーションが変です。突き当たりに見えている押入れの
分割もモンドリアンの平面構成のような状態です。昭和住宅
物語の中で藤森さんもいろいろ書かれていますが、とりあえず
この場所は綺麗だと思いました。
かなり唐突な感じはしましたが、銀箔のようなものが壁に
貼ってあります。陰影礼賛の中に出てくる金屏風の話を
思い出しましたが、おそらく同じように奥までやっと届いた
ひかりを際立たせる。そんな効果を狙っているんだと思い
ました。
外観も相当不思議な形をしています。陸屋根のモダンな
木造住宅がピラミッドに貫入したようなというんでしょうか。
吉村順三や清家清くらいまでなら何とかという人でも、建築
史の勉強でもしていない限り、堀口捨巳の名前は普通出て
こないいですよね。表現派とかモダニズムの源流のような
存在といったらいいのでしょうか、うかつなここを描くと御里
が知れてしまうので、堀口捨巳の話はこれくらいにしておき
ます。
次は今回のもう一つの本命である常盤写真場です。
外観はアドルフロースとかコルビジュエのRCの建物の様な
顔をしていますが、木造リシン吹きつけです。
北側の安定した光とスカイライトからの天空光で ってどこか
で聞いたような話ですが、ある意味そのその確認の為に行っ
てみたので、あたりませなのですが、その明るさは半端な
状態ではありませんでした。
ものすごく明るい。でも直射光のように疲れないので、ある意味
理想的な空間だと思います。
やはり来て見てよかった。と思いました。
ついでにもっと古いものを見てみようかと思い、あまり時間
もないのに、江戸時代のも見てみました。
土間に台所があって、上がったところにいろりがあるごく
当たり前の形式の住宅です。虫が付かないように、実際に
いろりに火を入れて燻していました。
ここでお茶をご馳走になったのですが、大川邸、前川邸
小出邸、常盤台写真場と見てきましたが、何のことはない、
この土間と座敷のある茅葺の吉野家が一番気持ちが良い
と感じてしまいました。ちょっと複雑な思いで、もう少し新し
い東ゾーンも見てきました。
子宝湯の写真だけ紹介しておきます。
昔やっていた「時間ですよ昭和元年」というドラマを思い出して
しまいました。しかしこんな時間から、こんな光を浴びながら、
こんな大きなお風呂に入ったらさぞかし気持ちがよさそうですね。