東京デザインオフィスの牧野です。
先日、所用で茨城の笠間に行ったときに、少し寄り道をして、
「春風萬里荘」
を訪ねてきました。
以前、近くまできたときに、立ち寄ったのですが、開館の受付時間を
少しだけ過ぎていて、門だけみて帰ったことがあったので、次の機会
には、是非、見てみたいと思っていました。
春風萬里荘は、北大路魯山人 の居宅だったものを北鎌倉から移築した建物なんです。
魯山人自体は、笠間とゆかりはないのですが、笠間を「芸術の村」にしていこうという構想の中で
笠間日動美術館の理事の長谷川仁が中心となって、芸術の村のシンボル的存在として
昭和40年に移築したそうです。魯山人が亡くなってから、6年後のことです。
もともと 魯山人も、大庄屋の民家を移築して住んでいたもので、江戸時代の茅葺の入母屋造り
の、見事な建物です。
建物の内部は、「万能の異才」と謳われた、魯山人のそれらしく、ハット思わせる、
意匠であふれています。ただ、そこにへんな派手さはなく、全体の調和が取れていて、
とても落ち着く空間です。
ここも内部の撮影がNGなので、外からの写真で想像してみてください。
「夢境庵」 と名づけられた茶室です。
この茶室は、魯山人 自らが、裏千家の名茶室「又隠」を手本として設計したそうです。
黒柿の床柱、南天の長押、塗り壁のいろや、障子のひかり、なんとも、落ち着いた
空間です。
茶室に限らず、古民家に限らず、昔の日本の建物に居ると、どうしてこんなに落ち着くんでしょうね。
原風景と言ったって、こういうところに住んでいたこともないし・・・・・・、
やっぱり、日本人のDNAの問題なんでしょうね。
こういう縁側は、建替える前の我が家にもありました。
踏み石や、竹の生垣。苔の緑が、さっきまで降っていた雨で、よけいに深く見えます。
茅葺の見事な軒、このプロポーション、言う事ありません。
この縁側の前が、龍安寺を模してつくらせたという、枯山水の石庭です。
時期が早すぎて、見ることが出来ませんでしたが、あと半月もすると、
庭のやまもみじがもっといろづいて、よりすばらしい景色を届けてくれるはずです。
笠間の豊かな自然に溶け込んで、もとから、この地にあったかのように、
建物とまわりが境界無く馴染んでいます。
東京から、車で2時間弱。機会があれば、是非行ってみてください。