東京デザインオフィスの荒川です。
パリの街vol.4は、そうパリといえば、アールヌーボーですね。
学生のころ授業でギマールとかオルタの住宅のスライドを見
せられたのを思い出します。
今回、家族でコルビジェのサヴォワ邸を見に行った後、午後
は単独建物探訪していました。先ずはエクトールギマールの
設計したメトロの駅、ポルトドフィーヌへ向かいました。
出る口を間違え、見つけるまでちょっと時間がかかってしまい
ましたが、ありました、バッタみたいな屋根。
他にもギマールの設計した駅は、今でもパリに90くらい残って
いるようです。私の見た他の駅はみな街路上に設けられて
いたのですが、ポルトドフィーヌは公園の真ん中にあるような
たたずまいでした。もしかすると其の立地条件ゆえに今でも
ここには完全な形で残っているのかも知れません。
大学3年のとき友人とガウディを見にバルセロナへ行ったと
き、ってもう30年近く前の話ですが、ちょっとだけパリにも立
ち寄り、そのときにもギマールの駅は見たはずなんですが、
ポルトドフィーヌへ来た記憶はまったく無いので、多分見てい
ないのだと思います。
本当に綺麗な状態で保存されています。
パネルの装飾模様もそのままだし、
細部のアイアンワークこれは鋳物ですね。綺麗に残っています。
見ているととても不思議な気持ちになります。なんとなく風の谷
のナウシカに出てきそうな雰囲気です。
次は同じくギマールによるカステル・ベランジュ。ちょっと迷って
なかなか見つからなかったのですが、冷静に地図を見直して、
街路を一周回ってようやく見つけました。フー。
この門扉、カステルベランジュです。すごい存在感です。
ヘーベルハウスの共用玄関扉とはえらい違いです。
当たり前ですが。
ギマールだけでなく、ヌーボースタイルのアパートがいくらでも
並んでいる姿には圧倒されます。
しかしパリの市街地にはスマートがたくさん走っていますね。
カステル・ベランジュ当然内部も見たいのですが、アドルフ・
ロースのトリスタン・ツァラ邸同様、ここもとりあえず外から見
ただけでも満足です。
その後、コルビジェ財団の事務所が入っている、ラ・ロッシュ
=ジャンヌレ邸(ここがまた分かりにくい)をみて、ギマール
の自邸へ向かいました。
カステル・ベランジュにしても、ギマール自邸にしても100年
以上前に作られた建物が現役として活躍しているのは、す
ごいですね。いつもお客様にロングライフデザインの話をし
ていますが、桁が違います。
このあたりの住宅はセーヌ川とブローニュの森の間、
パリの西の方に集中してあります。本当はこの後南の方まで
移動して、コルビジェをまとめてみたかったのですが、タイム
アウト。まったく時間が足りません。またいつか行きたいです。
パリのアールヌーボー。堪能しましたが、実は一番すごかっ
たのは、これ。レストランのガイドには出ていますが、建築の
ガイドには出ていません。
ホテルの近くのLE GRAND CAFE CAPUCINES。
有名なレストランなどは入れるわけも無く、今回の旅行の
中で入ったレストランの中では、一番綺麗なところなので
す。ヌーボーのインテリアに圧倒されます。
圧倒されっぱなしです。
天井がまたすごいです。
色の洪水です。これを見ただけでも、来た甲斐があったような
気がします。
アールヌーボーのインテリアを見ていると、京都で見た角屋に
通じるものを感じます。
宮殿や教会、寺院では無く、庶民の文化が行き着くところまで
行ってしまった感じ。怖いもの見たさとでも言いますか、こういう
ものは見ているものを圧倒する力がありますね。
ちょっと疲れますが。