東京デザインオフィスの荒川です。
本社のレジデンスのプロジェクトを立ち上げたかなり初期の段階で、初めてご契約していただいたお客様の住宅がやっと出来上がりました。
ここ一年くらいはいろいろ活動してきた甲斐もあり、全国的にも自信もって見てもらえるようなFREX RESIDENCEが増えてきているのですが、このお客様と打ち合わせをしていた頃はまだまだ写真を撮れるような 実例も少なく、初めに作ったカタログはオールCGで作ったりしていたほどです。 そんな状況下で、何としても計画を実現させたいと願っていた住宅です。
成城モデルができてしばらくして、他のハウスメーカーさんも邸宅系の展示場を満を持して投入していた頃で、お客様も他のハウスメーカーさん含めて比較検討していました。 そんなこんなで、この住宅を実現できるかどうかがFREX RESIDENCEが世の中に受け入れられるのかどうかのカギを握っている、そんな大げさな思いも持っていました。
場所も目黒区の上質な住宅地、それも角地で道路より高い敷地で、完成したらこのエリアのランドマークになるような敷地でした。 東京の城南地区でもう30年以上設計をしてきましたが、それまでヘーベルハウスが建っているのはどちらかというと路地奥だったり、間口の狭い土地だったりすることが得意という印象でした。
そんな思いで計画した住宅がやっと出来上がりました。
これは一番初めに作った模型です。 最終形とは形が違っていますが、考え方は大きくは変わっていません。
これは計画も終盤を迎えつつある頃に作ったものです。空間をつかむというよりは街の一部としてどう見えるかを検討し、お客様に理解してもらう目的で作ったものです。
これが最終的に出来上がった住宅です。
当初から中庭があり、そこにシマトネリコを植え、その木を玄関やテラスから景観に取り込むというつくりかたをしているのですが、ずっとベランダの真ん中にあった中庭が最終段階で道路際に移動になりました。
中庭がこの位置に移動したことで、いろいろなことがしっくり納まりました。 中庭と道路の間には、インターフェイスとしての樹脂のルーバーをつけることになりました。玄関ホールや書斎に、格子越しの気持ちの良いひかりが入り込んでいます。
内部の写真は近いうちに紹介します。
もうじき完成する豪徳寺の街かどヘーベルハウスも街や住空間におけるグリーンの重要さを訴えているような計画になっていますが、この住宅でも玄関前には大きなモミジ、見え隠れする中庭にはシマトネリコ 、廊下に光を取り込む大きな窓の前にはヤマボウシを植え、アプローチ部の入口は大きなハナミズキの街路樹にかこまれ、建物全体の周りに樹木が植えられている形になっています。
やはり、建物の周りに樹木があると、街も空間もが生き生きしてきます。
みどりの力は偉大です。