東京デザインオフィスの矢島です。
マツオにせっつかれていたRAUMFREX開発秘話・・・今回はこの長い階段についてご紹介します。
RAUMFREXは工業化住宅でつくる邸宅を目指して開発されました。工業化住宅は、建築現場での一品生産ではありません。品質が均-で高精度な住宅を安定的に供給するためには、
・「一般に流通している材をロスなく使う」という材料のパフォーマンス
・「一般に流通している機器・機材で製作できる」という工場のパフォーマンス
この2つが重要です。
そのため、様々な部位、部材について全国の工場に通いつめて、外観や、構造、機能、施工性などを確認し評価するために試作をくりかえしました。
なかでも、RAUMFREXの全長6mに及ぶ階段は、より質の高い工業化住宅(プレハブ)にふさわしいつくりになるよう、鉄の切り出し方法から溶接加工、そして治具(特殊な加工の時に部品を位置決めして作業性を向上させるための工具)の作成などの細かなところまで、私も山梨の工場に何度も通って形にしました。
弱軸に耐える断面性能と小口にビスを打てる寸法で材厚を決めます。組み立て後のビスが目立たないよう、小口にボール盤で孔加工するための専用の治具を用意してもらいました。
階段の力桁は5×10版を有効に使うため階段全長は6mにおさえ3mの分割された材料を溶接でつなぎます。(つないでもまっすぐ通る、高い技術力が必要)
また、工場からの輸送のしやすさとしては、材料を分割すれば確かに運びやすくなりますが、その反面、現場での接合部が増える事は美しさを損なう要因になります。このバランスを上手にとることが課題でもありました。
建物は昨年9月から現場着手して今年5月に完成。新しい試みも多く、私も朝から晩までつきっきりで、職人さんと一緒につくりあげました。
(現場で材料が梱包されてきたダンボールをデスクがわりに事務仕事をしていましたら、ある日、大工さんが私のデスクをつくってくれていました。)
RAUMFREXの完成は、開発部署の技術者、工場、職方、ヘーベルハウスに関わる全ての関係者の努力の結晶だと思っています。