TOKYO DESIGN OFFICEの荒川です
一度デザイナーブログでも紹介しましたが、現在基礎工事中の早稲田の集合住宅を
紹介します。
この場所に建つ建物の考え方
敷地は大きな通りから一本南へ入ったL型の道に、どん付きに接しています。西側に
大使館の豊かな緑があるため、交通量の多い通りの喧騒はまったく感じられません。
ただ大通りに面した北側隣地には8階建てのマンションが建ち、計画地を見下ろされ
た形になっています。この敷地の最大の特徴は南から敷地にどん付きになっている
道にあります。遠くから近づくあいだ、アイストップとしてずっと見え続ける視点が確保
されています。逆に言うと、建物内部からは道路の先の方まで長い眺望が確保される
ことにもなり、この周辺のランドマークになりえる立地ということになります。
西側隣地には大きな桜の樹があり、春には、すばらしい借景が期待できそうな状況に
なっています。
この土地に建てる集合住宅は、東隣のクールなマンションのイメージとは異なり、西
隣の大使館の豊かな緑をつなげていくような作り方をし、緑豊かな街のランドマークに
なるような作り方をしたいと考えました。三角形に切り残された土地をグリーンポケット
とし、敷地の中に合計5つのグリーンポケットを作り、建物はグリーンポケットに植えた
樹木に取り囲まれるような形にしたいと考えています。また、敷地は道路より1mくらい
高くなっていますが、安易にコンクリートの擁壁を作るのではなく、法面のままがよいと
思っています。その場合、土がこぼれないようにシロツメクサを植えた斜面とすることで、
道路から緑が見える面積が大きくなり、街にやさしく接するようにして、敷地全体がポケ
ットパークのような見え方に なると気持ちが良いと考えました。
この計画を考えるにいたった日ごろの考え方をまとめたものをここでも紹介しておきます。
いつのころからか、コンクリートの擁壁は作りたくないと思う様になりました。建築物 でも
なく、垂直に壁が立ち上がる壁。それも自分の背の高さより高かったりすると、ものすご
く圧迫感を感じてしまいます。大学のころ緑化することで圧迫感を軽減することが出来る
かというような研究に関わっていたのが、今頃になって意識の中で大きくなってきている
のかどうかはわかりませんが、小さい高低差でも何とか緑の法面を使って処理していき
たいと思っています。目にも優しいですが、こうすることで街がきれいになっていくと考え
ているからです。
これは、もう竣工した、二棟建ての集合住宅ですが、なるべくコンクリートの土留めや
階段は作らないように計画したものです。公園のようです。コンクリートブロックだけで
計画した場合を想像するとちょっと頭が痛くなってきます。残念ながらこの計画では
外構工事はお客さまの工事になってしまい、このとおりに作ることは出来ませんでし
た。
これは東京ガスのスミカプロジェクトの見学に行ったときのコールハウスという藤森棟
ですが、高低差を芝生を貼った法面で処理していました。街がやさしい表情になります。
こんなことを常日頃考えているのですが、こんな考えを実践するののに、この敷地はぴっ
たりだと考えました。