TOKYO DESIGN OFFICE の岩井です。
SSAの第二回目のようす、つづけます。
今回はまた事前課題を持ち寄りプレゼン、ディスカッションし合うワークショップ形式でした。私も渋谷支店設計の吉村君と新人の池谷さんと3人のティームで参加しました。
タイトルは「正面のない家」です。
「ウラのない家」ともいえます。
通常ファサードと呼ばれる顔になる表部分と反対の裏手がありますが、そういうものを排除しなるべく均一にしてみようとしています。
敷地に対して建物を平行でなく回転をを加えた配置とすることでそれを実現します。
これは以前、街かどヘーベルハウス「おたがいさまハウス」で行った手法と同じです。
今回はさらに内部の間仕切りも角度をつけて設置しました。
この二つの回転によって四角形なら四辺、四方向すべてにウラがなく心地よい向きになっています。
敷地が自由に設定できたため、周囲が囲まれ条件的にはむしろ厳しいが都内にはよく見られる路地上敷地としました。
プランです。
配置が敷地境界と平行でないため建物周囲に三角形のスペースが生まれます。隣地とのすき間ではなく機能する場として存在します。
広い側に対してはガラス面を用い内外を曖昧にします。また内部からは外を見たとき外壁、サッシが正面に正対しない事で線が跳ね返されず広い方へ導かれます。
ムダ(すき間、ウラ)がなく四辺四方向がそれぞれ顔を持つ家になっています。
キッチンの後方の三角形から見たようす
ダイニングルームからキッチン方向。視線が抜けキッチン後方も「ウラ」になっていません。
螺旋階段あたりの様子。ここにもソファを置いてくつろげます。
玄関前の様子。
大きい方の吹き抜け部。階を貫く二枚の壁がアングル(角度)がついていることを強調します。
家の中心に配置されたダイニングルームですが左の吹き抜け、右のキッチン方向から光が入ってきます。
スケッチパースは3人で手分けして描きましたが、タッチをそろえられる訳もなくかなり三者三様ですね。
最後の2枚が私の描いたものです。
「○○のない家」というテーマ設定については、私も関わったのですが、
建築家のワークショップなどにもよく用いられるテーマのようですが、いいトレーニングになったと思います。
通常、住宅には当たり前にある何かがない、ということはその「ないもの」の機能の本質に迫ったり、本当に必要なものかを問い直すことが出来ます。
そして果として不自由するどころか、より「よい」快適な家になるところまでできたら正解なのだと思います。
ちなみに上のプランは4間半(8.235×8,235m)の正方形ですが、ヘーベルハウスの構造システムを活かし中には柱一本だけで持っていますが、今回はヘーベルハウスであるという制約のなかでやりましたから、汎用性があれば十分実現も可能であると思います。
上のような角度をつけた配置の提案はこのあと、現在折衝中のY様にさわりで提案をしたところ前向きな反応をいただきました。
また荒川もblog掲載した後、プラン打ち合わせ中のM邸で「ウチでもこれできませんか」との問い合わせがあったそうです。