TOKYO DESIGN OFFICEの岩井です。
都内の密集した住宅地において陽当たりや眺望を確保するために、よく2階にリビングルームをもっていきます。
日中居るリビングルームを、日陰時間の長い1階より高い位置に上げることで心地よい部屋とするため、われわれもこれまでたくさん提案をしてきました。
今では大分普及しましたが、当たり前のようになったのは30年くらいでしょうか、それ程昔のことではないと思います。
これと同じ発想でいけば、さらに上の3階には「より」心地よい空間があるはずです。
そこで今回は3階建ての 3階 にリビングルームを作りました。
立地は2階建から3階建へ建て代わっている世田谷区内の住宅地。
地形は、東方面へ緩く下っていき、その先に大きな公園の樹木帯が見えました。
この眺望をリビングルームに取り入れない手はないと思い、これを3階へ上げました。
屋上感覚の広いベランダも設けます。
これが3階の様子です。写真左手はリビングルーム。
手前のダイニングから広いベランダ越しに遠くの眺望が臨めます。
逆にリビングルームからキッチン方向。ベランダは左手に広がります。
ベランダへ出たところの様子です。
乳白の手すりによって下方の住宅を遮り、
公園の樹木帯が直接見えます。新緑の季節が待ち遠しいです。
外から見ると、上部がパカッと割れて上空を取り込んでいるようです。
3階がベランダを東南角にとり、L字形のLDKが取り囲んでいる形です。
道路からの見上げ。
リビングルーム階が高い位置にもち上がって、下からは距離感が感じられます。
プライバシー確保にもなっていますね。
キッチンの様子に戻ります。
ベランダの反対側の壁はたっぷりと収納を並べました。
ダイニングから、夜の様子。
窓の外には広告塔の明かり。都会の中の景観です。
一方、下階は個室をもってきています。
陽当たりの優先順位を下げた部屋にも、光が入る工夫をしています。
これは玄関の様子ですが、和室の障子越しに「行灯(あんどん)」のような光が入っています。
床を上げた和室はご主人の書斎として使用しています。
水回りは内装材により明るく、広さ感がでるようにさせました。
さて、ここまでいい事を書き連ねた3階のリビングルームですが、
なかなかそこまで割り切れない一番の問題点は、アクセスのし辛さです。
建主様にもやはり最初は「いま(若いうち)はいいけれど。」というご意見をもらっています。
この家では、将来にそなえてエレベーターをつける準備をしておきました。
この3階リビングルーム、
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
品川かぜのとう
においてすでにご提案しています。
こちらも、これしかない、という立地条件に建っています。
もうしばらく拝観ができますのでぜひご覧ください。