東京デザインオフィスの牧野です。
現在計画中の三軒茶屋の住宅をご紹介します。
計画地は母屋の敷地の一部を分割して利用しています。
巾2m、奥行き10mの路地で道路に接する、
いわゆる "路地状敷地" です。
今回のような、母屋の庭先を活用して、新築する場合、
使える間口が、キビシく制約を受けるのは、よくあるケースです。
東西間口 約5m、南北の奥行き 約11m
での3階建ての計画になります。
周囲の状況は、東西に2階建ての住宅・アパートが建ち、南は空地、北は駐車場。
南側には間もなく2階建ての住宅が建ち始めるということなので、
北側だけが、当面、ひらけているという状況です。
まずは、敷地を体感しに行きます。 ラッキーなことに、今回の計画地には
既存の2階建てのアパートが建っていて、その建替えになるのですが、
アパートの住人の退去は既に終わっていて、内部を、お客様に案内して
いただき、マドからの景色や、光の入りかたを体感することが出来ました。
北側の駐車場の天空光は使える要素ですが、駐車場、道路を挟んで、
その向こう側には、こちら側にベランダを向けているマンションがあり、
視線の処理が必要です。
東側の隣家は近接して建っていますが、その南側には、少しですが、
高木のあるオープンなスペースがあるので、建物の間隙をぬって
朝日を取り込めるようにすることと、うまく借景できる計画に
したいと感じました。
西側には、道路に通じる路地があって、西日ではあるけれど、将来的にも
担保された空間が確保されている。
遠くに駅の近くの背の高いビル群が見え、お客様もその景色が気に入っている。
・・・・・・・・・・・・・・等々。
一つ一つお客様と共有しながら、
敷地の長所を丁寧に積み上げていきます。
今回の計画でのポイントは・・・・・・
周囲を建物に囲まれる中で、いかに
居心地のいいLDKを創るか
ということと、間口に対して方位が振れていて、
北側斜線制限がキビシイので、そのなかで、いかに
3階部分の居住スペースを確保するか
という2点になりそうです。
北側斜線制限をクリアーして、3階の居住スペースを最大限確保
するために、日のあたりにくい1階の天井高さを低くとって、建物の
全体の高さを低くおさえたり、3階の一部を斜め天井したり、敷地
対応力のある構造システムをうまく活用する計画です。
この家の中心になるLDKは、2階に計画します。
1階は全体ボリューム確保のために天井高さをおさえているうえ、
周りを建物に囲まれていて、とても居心地のよい空間にはなりません。
3階も北側斜線制限の関係で十分な広さがとれないので、2階のLDK
は、今回の計画では、必然だと思います。
隣家が迫っていて、2~3m離した程度では日照の得られない「南」は
あえてすてて、南側いっぱいまでLDKを広げ、南面は壁で閉じて、
抜けのある東西方向へマドをとって開く計画にします。
スケッチの正面の壁が「南」面です。
東側隣家のオープンスペースからの朝日があたる、南側をダイニングにしました。
大きめのマドを東面に切り取って、隣家の緑も借景します。
西面の対面キッチンの後ろ側の壁にも、マドを切って、東西の通風を確保する
計画です。
このマドはこの建物の顔にあたるところにくるので、デザインのキレイな
ものにしたいと考えています。
花や小物で飾るのも、いいかもしれません。
朝日のあたる南側はダイニングに譲って、リビングスペースは、
敷地の北側にもって行きます。
北側は、当然、直達の日照は得られないのですが、オープンスペースに
面した大きな開口から、落ち着いた明るさ が得られます。
丁度、図書館の窓をイメージしていただけると、近い感覚かもしれません。
あわせて、将来、北側の駐車場に建物がたってしまうリスクも考えて、
トップライトで光を取り込む計画にしました。
自分が歳をとったせいかもしれませんが、最近は、南側のギラギラした
光の中にいると、とても疲れる感じがします。
北側の、コントロールしやすい、やさしい光に、居心地のよさを
感じるようになりました。
そんな話をお客様としながら、ようやく基本の計画を終えました。
これから、詳細の設計に進んでいきます。
また、まとまった段階で、ご紹介していきます。