東京デザインオフィスの荒川です。
お客様のご厚意で、明日白金台の二世帯住宅の完成直前
現場を公開させていただくことになっています。
敷地は路地の奥。かつ道路から1.5mくらい高い土地なので、
通路部分を階段で上がっていくようなアプローチになってい
ます。
1.5mの高低差を車椅子でも上がれるようにというちょっと難しい
希望をどうやってかなえるのか。いろいろと考えて打ち合わせを
しました。当初仮設の階段を作っておいて、実際に車椅子の対
応が必要になった段階で仮設の階段をはずして段差解消機を
設置するという案が有力でしたが、やり直したりというのも大変
なので、車椅子のティッピングレバーを踏んで介護者が段差を
乗り越えていくというやり方があるので、それが連続的に出来る
ようなステップの巾を最初から作る方向で計画をしました。階段
の巾が広すぎて普段はちょっと歩きにくい感じもあります。必ず同
じ足で暖を乗り越えていくようなリズムになります。
二階には路地のどんつきにあたる場所に書斎を設けてあります。
逆に内部からはパースペクティブな見通しのきく場所になります。
阿佐ヶ谷にDON TSUCCHIというイタリアンのお店があ
りますが、この間口一間のレストランの二階席もまったく同じ
ような構成の空間になっています。
東京の様に密集した状況の市街地では、決して恒久的な物
では無いのですが、周囲の住宅の建ち方そのものが少しづ
つ変化していく環境であり、その状況をよく把握して計画を進
めていくということが非常に重要なプロセスだと思っています。
一つ家が出来上がると今度は其の家自体が新たな環境とし
て周囲に影響を与えていく存在になるわけです。
奥の敷地の本体は南を2mをきるくらいの擁壁に、東は出来
たばかりの三階建ての住宅に、西側も大きな建物に囲まれ
るような状態で、唯一南東方向と、北西方向の空は捕まえる
ことが出来ます。
こんな状況の中でどういう空間を作っていけば気持ちの
よい場所が出来るのかということを考えていくわけです。
唯一少し開けている方向にまとまった空間を設けてその
中庭のような空間を取り完込むような形で居室を配置し
ていきます。この中庭には デッキを張って、室内との連続
させることで、室内と屋外を混ぜ合わせるような関係をつ
くります。気持ちよい場所を作るうえでの常套手段です。
さらにキッチンに近い場所にすることで、より快適な空間
になって行きます。
キッチンの裏は東側のはずです。
これは午後3時くらいの写真です。食器棚上の窓、東なのに
何でこの時間にこんなに光が入り込んでいるのか、違和感を
覚えたので窓を開けてみると最近となりに出来た三階建ての
住宅に西日が反射して入り込んでいました。
こういう反射光も環境を読み込んでいく上では、非常に重要
です。もちろん、この建物が無ければ東からふんだんに朝日
が光が入り込んでいたはずですが。
西側はどうしても暗所になってしまいそうだったので、スカイライト
を設け、その下は光を受ける壁を大切にし、一日中安定した光が
入る場所としてリビングの居心地良さを担保していきます。
もう一つ較的空きのある北西側にも、開口を設けここからの光と
スカイライトからの光でリビング空間を成立させています。
二階には大きなベランダがあり、ここに面している空間の中で
は唯一洗濯場がベランダと直接出入りが出来る場所としてい
設計しています。
便利そうでちょっといい感じです。
明日は13時から17時まで現場にいる予定にしています。
もう当日ですが、興味のある方は、事務所まで連絡下さい。