元TDOの荒川です
ずいぶんとご無沙汰していますが、3月にお引渡しをした渋谷区の
集合住宅に行ってきました。
この計画はもともと岩井君が担当していたもので、私は主に外部の
デザインをやっています。
お客様とは、以前TDOのイベントで内山緑化さんの山まで一緒に木
を探しにいきました。
アメリカ楓というモミジの一種を選んできたのですが、最終的に、東京
一軒家で使ったアメリカハナナシを3本列植するような計画にしました。
足元には早稲田の集合住宅でやったのと同じやり方で、植栽の面を
多少勾配をつけて、見つけ面積を大きく感じられるようにし、そこに今回
もシロツメクサの種をまいています。
お客様がブログで早稲田の集合住宅のの写真をご覧になり、うちもこう
したいとご希望されたので、同じような計画としています。
https://hebel-tdo.com/tdo/tdo-blog/process/cat52/
建物の周りは緑に囲まれ、ご近所の方も緑が繋がり、街並みが変った
と評価して頂いているという話を聞きました。
一つの建物が建つことで街並みが変り、それが連鎖的に広がって
街そのものが綺麗に居心地良くなっていくという形が理想です。
今回の計画は、それに近い形で実現できたと思います。
植栽の計画はお客様のご理解を頂くのが難しく、最終的に現実しな
いことも多いのですが、今回はお客様のご理解とご協力があり運よ
くコンセプト通りに出来上がりました。
区の緑化の指導も上手くいった要因の一つです。渋谷区は比較的
厳しい緑化計画の指導があり、それを遵守していくとこれくらいの緑
の量が必要になります。
ただこの状態を維持していくにはそれなりにメンテナンスが必要なこ
とも事実で、現在年に2回くらいのペースでメンテナンスをする契約を
して頂く方向で話を進めています。
メインの入口周りの高低差の処理は階段を囲むようにスロープ
を取って、間に植栽を挟むことで、階段とスロープが直接隣り合
わないようにしています。
これは多少段差がある計画では常套句の一つです。床がねじれる
ので、タイルも100角の小さな物を使っています。最近余り種類が
ないので、余裕があればピンコロも使いたいところですが、この
INAXのタイルは綺麗でした。
館名もドイツ語で緑に囲まれた家というような意味のようです。
住戸間のパーテションもその存在自体がデザインにならないので、
ちょっと費用はかさむのですが、天井まで通る形で、見つけ巾も少
し大きく特注して作っています。
緑化の基準を満たす為に、水平面だけでは足りない為、壁面の緑化
もやっています。積極的に壁面を緑化したのは初めてなのですが、
ポイントは何を植えるかです。
壁面緑化の計画は言うほど簡単でなく、上手くいっている計画は思っ
たより少ないと思います。自宅でつる性のものをいくつか試している
のと、街でも上手く出来ているのは意識してみています。今回は種類
は混ぜないように二箇所でそれぞれ別のものを植えています。
こちらはむべ。葉が密集しすぎずグロテスクな感じになりにくい
と思います。
こっちはやまほろし(ツルハナナス)を植えています。ツルハナナスは
一気には咲かず開花時期が長いので、こういう場所には向いている
と思います。