東京デザインオフィスの荒川です
今回はなべよこの4回目、コンパクトな親世帯。
キーワードは「兼ねる」です。
なべよこの一階は元気なお母さんと働いているお嬢さん
この人が未婚なのか、残念ながらうまくいかなかったのか・・・
それはどちらでも良いのですが、今の世の中そんな状態は普通にあるわけで、
だからへーベルハウスが2.5世帯などという今まで聞いたことがなかった住まいのカテゴリーをまた増やしているわけです。
実際に設計をしている中でも、こういう家族構成の計画に出会うことは取り立てて特別なことでも無いような気がしています。
なべよこの場合、このスペースを使う人数は2人ですが、一階で占有できる床面積はわずか39㎡、約10坪しか取れません。
この中に、玄関、階段、浴室、洗面所、トイレ、LDK、お母様のBRこれだけの機能を入れる必要があります。
普通に単位空間(ある機能を担保する為の基本的な最小限の空間をこう呼んでいます)を組み合わせていくと、50㎡くらいは必要な気がします。
これを40㎡弱の中にいれるには、なにかしら工夫が必要になるわけです。
そこで出てくる言葉は「兼ねる」です。
建築家の杉浦伝宗さんが「ちっちゃな家」をシリーズで展開していて、当時かなり影響を受けていた杉浦流の手法の中に「兼ねる」というキーワードが入っていました。
設計企画部の熊野さんから昔聞いた話ですが、
和室は何もなくとも部屋として機能するが、洋室は家具腑が無いと何も機能できない。
畳の上はベッドにもなるし、椅子にもなるし場合によっては食卓にもなる。
要するにたたみの面がすべての行為をサポートしてくれているんだということをおっしゃっていました。
究極の兼ねるです。
ですが、今回の場合、一階にただ畳を敷いておくというわけにも行かないので、
小さな兼ねるを積み重ねて部屋を構成しました。
これは最近お引渡しをした住宅でお客様の指定で使ったソファと同じもので、
カンディハウスのALPという商品です。
カンディの最長寿命商品、要するにロングライフデザインということです。
このソファーベッドという言葉の中に既に兼ねるという概念が入り込んでいますが、
このソファベッドはダイニングのベンチとして使うことも想定しています。
チェアとソファとベッドの三つの機能を兼ね備えた
ロングライフなデザインということになります。
すばらしい!
新宿のレジデンスチームのオフィスのあるエステックビルの向かいにカンディのショウルームがあるので、すわり心地を確認してきました。
あまり品がよくないですが、胡坐をかけることができるので、非常に楽でした。
ALPを使うことで、DKがLを兼ねます。
TVはVボードを使わず壁付けとし、ブルーレイ等の収納は壁に埋め込んでいます。
ベッドの足元にカウンターをしつらえ、BRと書斎を兼用します。
この空間はマルチのダクトタイプのエアコンを使っているので噴出し口は間接照明のコーブを兼ねています。
キッチンは2間の中に、キッチンセット、冷蔵庫、食器棚、家電置きを半ば強引に納めています。半間のキャビネットの下部を引き出し式の食器いれとし、上部を家電置きとして使ってします。
こういうのありそうでないんですよね。作ったら売れると思うのですが。
コンパクトですが使いやすくて気持ちが良い空間。になると良いのですが。