東京デザインオフィスの荒川です。
厚木の住宅の完成が近づいてきました。
先日、お客様に出来上がりのチェックをしていただきました。
旗状の敷地ですが、道路の整備ができていないので、どこが道路かわからず、
原っぱに立っているような状態になっていますが、
外構が出来上がると佇まいもだいぶ変わってくると思います。
玄関のある正面にもともと植えてあった樹ですが、
こうして家の前に一本樹があるだけで、なんとなく風格が出てきます。
奥に屋外設備をまとめておいてある部分があるのですが、
この樹木がうまく隠してくれています。
近寄るとこんな状態です。
見せるようなものではないのでこんな風にまとめてしまえればその方が良いですね。
ちなみにこの建物は深岩(フカイワ)という吹付を使っています。
現在ヘーベルハウスの外壁色のバリエーションの中では一番明度が高く、
白く見える材料です。
玄関に入ると脇に鏡があるのですが、
鏡はなるべく動線に対して正対して自分が映り込まないように、
動線に直交する面に貼るようにすると、広がりが生まれます。
玄関のたたき部分からキッチンへつながるパントリーに直接入り込めるようになっています。こういう動線も実際に生活する上ではかなり便利だと思います。
ただ玄関に入ってすぐの場所なので、建具の枠が目立たないようにする配慮も必要ですね。
パントリーからキッチンもタイルで仕上げています。
玄関ホールの正面はコンクリート打ち放しのようなタイルが貼ってあります。窓そのものは見えませんが、真横につけた窓からの光がタイルの壁面をなめて入ってきます。
夜間は上部からの間接照明の光を受けるようになっています。
このホール、パントリーへ入る扉、トイレに入る扉、階段下物入れの扉、
リビングへ入る扉と一つの面に四つも建具がついてしまい、
とてもうるさくなってしまうので、全て天井吊のアウトセット形式の引き戸と
することで、ノイズを減らしています。
主空間は、ほぼ田の字プランで全体を四つのグリッドに分け
キッチン、ダイニング、リビング、和室が置いてあります。
和室は30cm床をあげ、鴨居を宙に浮かせて、壁の間接光
が連続するようにして、四枚の太鼓貼り障子が物入れ部分に
引き込めるようにしてあります。
かなり手の込んだ納まりで、工事担当からはかなり嫌がられてしまいましたが、
お客様には喜んでいただけたようです。
全開するとこうなります。
キッチンと和室の間の収納はスペースを入れ子状態で使い倒していて、
使う側からすると大変喜ばれる形ですが、更にエアコンを入れているので、
設備配管と複雑な造作が絡み合い、
大工さんにはとても苦労を掛けてしまいましたが、
お客様には喜んでいただけているようなので、苦労した甲斐がありました。
キッチン側からはこんな風になっています。
全開した状態で和室から庭を見るとかなり解放感があります。
31幅のフォールディングウインドウの連窓はやはりきれいでした。
リビングから玄関の方を振り返ると、キッチンのダクトを通している
梁型があるのですが、上部には天井面を照らすコーブを設け、
下部には壁を照らすコーニスを設けることにより、ダクトによる天井下げを
意識しないで済むようにしています。
対面キッチン用の収納造作でマルチカウンターというのがあるのですが、
建築で作る腰壁を、木製のエンドパネルにするだけで全体を造作家具で作ったような
グレード感になります。かなりコストパフォーマンスが良いです。
作り方にもコツがあるのですが。
階段は窓から光のある方へ上がっていく。
このやり方はもう常套句になっています。
完成したら「理想をかなえた実例」で紹介したいと思います。