東京デザインオフィスの松尾です。
先週、遅い夏休みをいただいてバルセロナに行ってきました。
バルセロナ、といえばガウディ。
ガウディといえばサグラダ・ファミリア。
2026年完成予定だそうです。
まさに石の聖書。
教会ですから、聖書のストーリーや教義も巧みに織り込まれているのですが
ここに身をおくことは、更にシンプルに恵みの存在を体感できるように思います。
内部は想像以上に明るく、
木漏れ日がふりそそぐ森のなかにいるような空間です。
ゆっくりと2時間ほど滞在しましたが、全く飽きません。
見ればみるほど、いろいろなものが輪郭をもってくる感じでしょうか。
もしサグラダ・ファミリアに行かれるのでしたら、
主任彫刻家の外尾悦郎さんが書かれた
「ガウディの伝言」を読んでいかれると面白いと思います。
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一方、スペイン広場からカタルーニャ鉄道で約20分。
ガウディの最高傑作という人も多い「コロニア・グエル教会」
こちらは本当に「未完の教会」です。
降り立った「コロニア・グエル」駅は無人駅。
自動改札に切符の販売機が1台ぽつんとあるだけですから、
バルセロナから往復切符を買って行くと安心かもしれません。
駅前からこの青い足跡がコロニア・グエルまでエスコートしてくれます。
コロニア・グエルはガウディを援助してきたグエル氏が経営する
繊維工場の従業員のための街。
ただ住まいをつくるだけでなく、文化的で豊かな街を目指して、
モデルニスモの建築家に住宅の設計を依頼し、ガウディには教会建築を依頼しました。
歩くこと10分。
インフォメーションセンターの裏手、公園のなかにその未完の教会はありました。
本来の計画では、3本の塔を擁した上下2層の教会になるはずでした。
何故工事は中断したのか?
もろもろのガウディ本などをめくると、
ガウディがサグラダ・ファミリアに専念するために手をひいた。
と説明されているものが多いように思います。
インフォメーションセンターでもらったパンフレットによれば
グエル家から教会建築の費用援助中止の申し出があったため、
ガウディは計画を放棄した。
となっています。
・・・果たして真相はいかに。
ガウディはなんと10年の歳月を費やして、
コロニア・グエル教会のための数々の実験をしています。
時は第一次世界大戦直前。
カタルーニャでも政治不安から労働運動が激しくなっていった時代です。
経営者であるグエル氏周辺も決して穏やかではなかったでしょう。
いずれにしても、ガウディはサグラダ・ファミリアに全てを傾けることになります。
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工場の街らしく、くず鋳鉄やレンガなどの再利用品も使われています。
精錬所のカラミレンガみたいですね。
さて、地下聖堂の内部は撮影禁止とありましたが、スタッフに声をかけてみると
「フラッシュはダメだけどね!」とにっこりOK。
たまたま見学者が少なかったからかもしれませんが。
この椅子もガウディの手によります。
こんな優美な教会の椅子はみたことがありません・・・素敵です。
ステンドグラスは一番弟子のジュジョルによるもの。
一番大きなステンドグラスは蝶のように開閉します。
ガウディはコロニア・グエルでのあらゆる建築的な試みを
サグラダ・ファミリアで実践しているのだそうです。
素朴な美しさにあふれています。
サグラダ・ファミリアの清清しい高揚感とは一見対照的ですが、
自然に範を求めたガウディの目線を、より身近に感じることができる教会でした。
バルセロナは見所が多い街ですが、
忙しいツーリストも、是非コロニア・グエルまで
足をのばしてみることをおすすめします。