へーベルハウス東京デザインオフィスのマツオです。
先日、成城フレックスレジデンス展示場の絵画を展示替えしてもらいました。新しく展示した齋悠記さんの作品をご紹介します。
2階のダイニングから3階への階段室。吹き抜け上部から差し込む光が作品を包んでいます。
齋さんのこの作品は、クールな色調が軸になっていますが、あたたかい。 作家の内面にあるナチュラルさや柔らかさなどが滲んでくるようなスタイルが印象的です。
沖縄で制作されいる齋さん。ご自身のアーティストステートメントにはこうあります。
「私の制作は、できるだけ無意識を心がけながら色を選び、時には目を閉じたり体をできるだけ自由に動かしながら体内に流れる音楽やリズムに沿って筆を動かす。その行為によって支持体に現れた空間に、私が自然や人とのふれあいの中で感じた「素」のようなものと共通したものを見つけ、それをきっかけに絵画として形作っていく。」
抽象画は、自意識を断絶し消し去ろうと描くひともあれば、自らの心の中にあるものを見えたままに描くひともいるでしょう。齋さんの作品からは、そのいずれかだけではなく、からだを通した経験から生まれるリズムを感じます。
アートと身体性、と書いてしまうと、自分の知識量が追い付いていないのに使いたくなる意識高い系表現でむずむずと落ち着きませんが、作者の背景にある身体的実感に思いをめぐらせるのも、またひとつのアートの楽しみかたであることには違いありません。
齋 悠記 YUHKI SAI
1978.01 アメリカ合衆国に生まれる。宮城県仙台市出身 沖縄市在住
2002.03 沖縄県立芸術大学大学美術工芸学部美術学科絵画専攻卒業
2003.09 イギリス サリー美術大学 交換留学
2006.03 沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻絵画専修修了
受賞歴
2012.05 トーキョーワンダーウォール2012入選
2017.11 沖縄県芸術文化祭 新人賞受賞