スタッフからの最新情報

【HailMary9月号掲載分】ハウスデザイナーからの手紙 #34

CATEGORY:
ハウスデザイナーからの手紙

ヘイルメリーマガジン 2022年9月号掲載

荒川圭史/ハウスデザイナーからの手紙 「住宅を作るということ 第34回」

緑のこと その7 <はなまねき>

「はなまねき」の話には続きはないの?という話をいくつかいただきました。話が尻切れトンボになってしまっていたので、今回はその続きです。

緑のことは今回でもう7回目になるので、今までのテーマの中では最も多く、「街と住宅の関係を考える」の回数に並びました。そもそもこの二つのテーマは切り口が多少違うだけで根っこは同じです。住宅の計画をする上で、如何に街との関係を考えることが重要かと考えており、その関係は緑の存在なしには考えられないということを改めて自覚することになりました。緑の存在を意識しながら街との関係を構築していくことが、最終的に心地よい住まいを生み出すことにつながるのだと思っています。

hanamaneki201708_038.jpg

*「はなまねき」の計画の一番のポイントは「はなまねきウォール」。
生け垣とは異なり、人工的な工作物の幾何学的な線と植物が、心地よい自然の距離感を作り出す

住宅メーカーの設計が計画を進めていく場合、決まった営業担当とのペアで計画を進めていくことが多いのですが、東京デザインオフィスでは複数の設計で一緒に考えるチームデザインというやり方をしていることも大きな特徴で、独りよがりにならず客観的に計画を見ることが出来、自分では持ち合わせていない物の見方を発見することもあり、いいことはたくさんあります。

それでもあくまで社内の設計が複数集まって計画を練っているだけだと、思考が広がる範囲は限られるので、いつの頃からか外部の専門分野が異なるデザイナーさんに協力してもらって計画を進めていくというやりかたをすることも増えた気がします。昔はコラボレーションという言葉が流行っていて、なんでもかんでも「コラボすればいい」みたいな空気があり、ちょっと違うよねということも多かった気がしますが、目的を明確にした上で協同することは実際にいい結果を生み出すと思います。住宅のレベルでも照明の計画などはその典型で、自分で持っている少ない引き出しからではなく、その道のプロと一緒に考えることで空間は全く別の物に変貌することもあり、コラボレーションの重要性は日々感じています。

はなまねきテラス

*「はなまねきウォール」の内側は、街路からの視線をほぼ気にしなくてよいプライベート空間が生まれている

「はなまねき」もかなり多くの業種の人たちとコラボレーションしましたが、テーマは 「はなと緑」であったため、青山フラワーマーケットの空間デザインブランドのパーカーズさんには多くの部分で協力いただいきました。ただもともと「はなまねき」の計画ありきではなく、特に目的もなく青山フラワーマーケットを訪ねたのが事の始まりでした。本社の広報担当に「青山フラワーマーケットさんの事務所を訪ねて話を聞く機会があるのですが一緒に行きますか」と誘われ、面白そうなので行ってみたのがきっかけです。1階はショップとカフェが一緒になっている空間で、このカフェ自体緑と花の量に圧倒されるような場所でした。こんなにたくさんの花に囲まれていていいのかとちょっと罪悪感すら感じてしまう贅沢な空間だったのですが、上階にある打ち合わせコーナーがまた居心地の良い空間でした。1階のカフェとはちょっとニュアンスが違い、壁も天井も緑で包まれて、まるで公園の中にいるかのように、切り花ではないたくさんの植物に囲まれた空間でした。我々の事務所の打ち合わせコーナーとは全く別もので、ここで打ち合わせをしたら全く違うアウトプットが生まれそうだなと、かなり衝撃的で興奮しながら話を伺ったのを覚えています。広報担当の目的がなんであったのかもはやよく覚えていないのですが、こういう空間の作り方があるのかと、その後ずっと機会があればそんな作り方をしてみようと企んでいました。その機会は割とすぐにやってきました。

久しぶりに「街かどヘーベルハウス」という建売に近い形で我々が勝手にコンセプトを組み立てて住宅を作りそれを見てもらうという企画が始まり、その建物のコンセプトはもう 「はなと緑のある生活」にするしかないと思い、支店長含めメンバーを説得できるような企画を立て同時にパーカーズさんに相談することで計画が始まりました。具体的にどんなことをしたのか、今回は紹介しきれないので次号にお話しします。また尻切れトンボになってしまいました。

各種お問い合わせ

東京デザインオフィスでは
家づくりのご相談をいつでも承っています。
最新の建築実例集もご用意しておりますので、
お気軽に下記連絡先からお問い合わせください。

フリーダイヤルでのお問い合わせ

0120-040-744

受付時間/9:00~18:00 定休日/火曜日・水曜日