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もうひとりのル・コルビュジエ

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こぼればなし

ヘーベルハウス東京デザインオフィスのマツオです。


大倉集古館でスタートした「もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって~」展に行ってきました。
建築家であると同時に数多くの美術作品を残したアーティストでもあるル・コルビュジエの、美術作家としての側面が紹介された展覧会です。

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大成建設のル・コルビュジエ・コレクションのなかから、絵画やパピエ・コレ(コラージュの技法を用いた作品)、彫刻など約130点がまとまって公開されるのはおよそ30年ぶりのとのこと。

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コルビュジエはいくつかの作風を経て数々の名建築を世に残していますが、自分のアイデアを絵画で実験し、建築に応用していたと言われています。
初期の絵画は、控えめな色彩で円や直線を用いた幾何学的な表現。そこから曲線が強調された風景や官能的な表現へ移行し、人体などへとモチーフが変化していきます。それをなぞるように、建築は白くてシンプルな形態の追求から、有機的な線、素材を許容したデザインへと変遷します。

作風の変容とともに量感のあるフォルムを獲得した、自在な雰囲気の絵画ですが、その曲線を納めた厳格な構図からは、コルビュジエの一貫した幾何学的な造形への強いこだわりが感じとれます。絵画も建築も、自然に隠された秩序の美しさで人の心を動かすことを目指したものであったのでしょう。

さて、コルビュジエの建築で唯一日本に現存するのが、後期の建築群のひとつとして世界遺産となった上野の国立西洋美術館ですが、同時に登録されたのが、自身と妻イヴォンヌのために建てた地中海を見下ろす別荘「カップ・マルタンの休暇小屋」です。

世界最小の世界遺産と言われるこの木造の小屋は、ベッド、テーブルにクローゼット、 手洗い・トイレだけでキッチンはなく、お隣のビストロ「ヒトデ」 が食堂代わり。バスルームは外の簡易シャワーと、まるで山小屋のような簡素なつくりで、別荘というには素朴すぎる建物です。コルビュジエはここに休暇の度に訪れ、目の前の美しい海で泳ぐことを楽しんでいましたが、1965年8月、日課にしていた海水浴に行ったまま帰ることはなく、この小屋が彼の終の棲家となりました。

数々の傑作を残したモダニズムの巨匠が最後に住んだ家、その広さはおよそ8畳。


合理的で美しい秩序に近づくために、シンプルな構図に豊かな曲線を閉じこめた絵画と、終の棲家。ここにコルビュジエの生涯にわたったテーマを垣間見たような気がします。

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