TOKYO DESIGN OFFICEの荒川です
岩井くんやっと書いてくれました。
23日に訪問会をやる予定のハナミズキのある二世帯住宅の紹介記事。検索でTDOの
HPが表示される三大キーワードは、吹き抜け・中庭ビルトインガレージのようですが、
この住宅は二世帯住宅であるというだけでなく、これらのキーワードがすべて盛り込ま
れています。実際の建物を見ると、何故このような配置になっているのかも良くわかる
と思います。
で今回は松原のおたがいさまハウスⅢということでやっと計画そのものの話です。
旭化成不動産から今回の計画の話が来た段階で、この約100坪の土地を三つに分け
て、買いやすい手ごろな価格にしたい。
かつ
計画の工夫で、面積相応の価格以上の付加価値を付けたいという要望がありました。
先ずはAのように縦に3つに分けたらどうなるかという検討をしました。
この場合、両側の建物と隣地は民法上の50cmを守り、3つの建物相互間は墨田区
などでは普通に行われていますが、建物相互の距離で50cm確保できるような配置
計画をして、少しでも大きな間口を確保する方法をとっています。それでも各建物の
間口は4270mmがいっぱいということがわかりました。
品川のかぜのとうでも4575mmを確保しており、4575mmいわゆる二間半の間口が
確保できるかどうかで計画の自由度が大きく変わってきます。もちろんこれ以上小さい
場合には、それなりに対応の仕方はあるのですが、この幅がひとつの目安になります。
でこうやってところどころに小さな空地を設けて、3つ建てるのは、ありえない話ではな
いような気もするのですが、どうしても窮屈な感じになってしまいます。
旭化成不動はこのB案のように真ん中を路地上としてT型の敷地として中央に大きな
空地を取るようなイメージがあったようです。
確かに空地は大きく確保できて良いのですが、中央の敷地ばかりが大きくなりすぎて
しまいます。また今回の計画のような建売や売り建てもしくは、建築条件付の土地とし
て販売するような場合、建設費自体を抑えていかなければそもそも商品として成立しな
いのですが、この計画だと奥の建物は中央で分断され、それはそれで面白いと思うの
ですが、コストは嵩みます。
また手前の建物は3階建てにしないとボリュームがとりきれない感じなので、それはそ
れでまたコストに跳ね返ってきてしまいます。
でとりあえずこんな考え方はありかと思い、このセンで計画を進めてみました。
西側は細長い土地。4575mmの間口が取れるように分割することができます。中央は
敷地延長とし、右端は一番のノーマルな形状とする切り方です。こうすることで、敷地
延長の形状となる中央の土地も大きくなりすぎずにすみます。
中央の通路の突き当たりに、シンボルとなる大きな樹を植えます。三つの建物の間に
よりどころとなる空地を挿入しそこにも樹を植えます。
相手側が窓をきっているところは、こちらは壁になるように、開口は互い違いに計画して
いきます。必要なところにはデッキや目隠しの格子を挿入していきます。
こうやって、三つの建物がおたがいに気兼ねしないですむような状況を作っていきます。
二階のレベルで三つの建物の関係を見ていくとより空地とそれぞれの建物の関係が
見えやすくなります。
断面を見るととこんな様子です。
祐天寺の元祖おたがいさまハウスのような作りこみはまだまだこれからですが、ここ
のアイデア次第で最終的に出来上がる建物のよしあしはほぼ決まってしまいます。
松原のおたがいさまハウス、実際に建ちあがった姿をぜひ見てみたいのですが、
実現しなかった、幻のプロジェクトの中に結構面白いものも多いので、もしかすると
この計画も幻になってしまうかもしれません。