東京デザインオフィスの荒川です。
2006年に建築ノートという雑誌が出版されていますが、そのNO.01
にニッポンの「新鋭」建築家11人という特集があリました。その中で
青木淳さんが青森県立美術館のMaikingを紹介しているのですが、
それを見たときから、「絡み合った二種類のボリュームとその間」とい
うコンセプトが気になっていていました。いつか見に行きたいと思って
いたのですが、やっと実現しました。
本当ははやぶさで行きたかったのですが、こんな状況の中計画を変
更せざるおえず飛行機で行くことになったのですが、新幹線開通しま
したね。ちょっと残念。JRもがんばっていますね。
というわけで空路青森空港へ、夜は津軽三味線が聴ける店に行った
り、市場でマグロや海鮮どんぶりを食べたりいかにもな観光旅行をし、
おまけに八甲田山では春スキーまでして、春の青森を満喫してきまし
たが、なんと満開の桜を見てくる時間がありませんでした。残念。
いつかまた行きたいと思います。
実はマツオさんがもうずいぶん前に行っていて良かったですよと聞い
ていており、うらやましいと思っていたんです。
三内丸山遺跡を見た後、巡回バスで美術館に到着。
バスがとまったのはこっちの正面でなくこの真っ白な外壁、
真っ白な・・・・はずの外壁になんかぴりぴりひびが入っています。
土色の壁と白い壁の対比で絡み合った二種類のボリュームを表現し
ていました。
白いほうはよく見ると普通の赤いレンガが貼ってあり、上から白くペイ
ントしてあります。このひびは先の地震で発生したものなのか、もしくは
モルタルの無地部分が劣化して塗装が接げてきているのかさだかかで
はありませんがちょっと残念な感じです。赤いレンガにあえてホワイトの
ペイントをするという手法はアアルトもサマーハウスやマイレア邸でやっ
ていますが、レンガをそのまま使った場合の、「私はレンガですから」と
いった自己主張もやんわり消え、ただ白く塗った平滑な壁に比べて深
みのある素材感のある白になっていてとてもいい感じだと思います。
もともとはどこかの誰かが古いレンガ造の建物をリフレッシュするため
にやったような話なのかも知れません。
今工事中の武蔵野の住宅ではリビングの一角で同じようなことをやっ
てみています。室内なので雨はあたらないのでこのようにひびが入る
ことはまずないと思います。そういえば、横浜アパートメントを見学に行
ったとき外壁はサイディングでいろは白いのですが、あえて白いサイデ
ィングは使わず、グレーのサイディングパネルをホワイトにペイントして
いるという話を聞きましたが、きっとやりたいことは同じようなことなんだ
と思います。工業製品むき出しというのはある感性の人には許せないも
のがあるんだと思います。だから建築家の人たちはサイディングはあま
り使いたがらないし、プレハブ住宅はなんとなくそんな住宅という感じで
ひとくくりにしている気配を感じます。
ちょっと脱線しすぎましたが、この美術館全体通して伝わってくる雰囲
気は、きれい過ぎる美術館や高級マンションのような綺麗さではなく、
真っ白なんですが人の手が入った暖かさのような物が伝わってきます。
大手のデベロッパーが作ったタワーマンションと建築家がこだわって
作った集合住宅の違いというとわかり易いでしょうか、それをこのス
ケールの建物でまとめきってしまうのはすごいと思いました。こんな浮
遊感のある真っ白な廊下も歩いていてとても気持ちが良かったです。
この場所が「絡み合った二種類のボリュームとその間」をかなり素直
に表現している場所だと思います。
この土色の部分は版築という構法で土を固めたもののようです。
かなり深く地下を掘っているので、所々地下水が沁み出しています。
こういうのも時間がたって味になるといいんですが。
同じく版築で固められた床にも水が沁み出していました。
こんな風に天井が迫ってきたり、
二つのボリュームが競い合うように上に向かって伸びていったりしま
す。内部の写真は撮れませんが、空間ごとにこのような変化を繰り返
していきます。
軒裏にもレンガが貼ってあります。ボリューム感を強調している感じ
です。もう一つこの美術館が魅力的な脇役がいます。
それがこのフォント。一貫して美術館内で目に触れる文字はすべて
このフォントで統一されています。
これはフォントとは違うかもしれませんが。
こんなことになってしまっている部分もありました。
ここで昼食をとったのですが、レストランの照明器具?というのかどう
かわかりまませんが、これ隠れミッキーではありません。天井全体が
こんな風になっていました。
近くでよーく見てみるとダウンライトというにはかなり底が深く30cm以
上ありそうでした。こうすることでダウンライト特有のまぶしさが消え
セード無しで、とてもやさしい光に変わっていました。
青森県立美術館と言えば主役はやはりあおもり犬ですね。
なんとも言いがたい表情をしています。見る角度によってずいぶん顔
の表情は違って見えました。
とても大きいです。何で出来ていてどうやって作ったんでしょうかね。
魅力満載なあおもり県立美術館、まだ見ていないかた、ぜひ一度行っ
てみてください。