へーベルハウス東京デザインオフィスのマツオです。
先日公開した荒川のBlog「住宅とアート」でも触れていますが、先月オープンした瀬田展示場はアートをテーマのひとつとして位置付けた住宅です。モダンアートが積極的に取り入れられていて、階段室には小野耕石作「Hundred Layers of Colors シリーズ」、畑山太志作「風をわたる」「原景#4」が飾られています。へーベルハウスの大空間、横4.3m 縦9mの壁面を彩る迫力ある存在です。
アートと暮らす、といえば思い出すのが10年ほど前に公開された「ハーブ&ドロシー」。この映画、お好きな方も多いと思います。
郵便局員のハーブと図書館司書のドロシーのヴォーゲル夫妻は、約30年にわたって少しずつモダンアートを集めてきました。その蒐集ルールは2つ。自分たちのお給料で買える値段であることと、新婚時代から住むニューヨークの1LDKのアパートに入る大きさであること。そうやって集めたアートは実に約4000点。1960〜70年代のNYのアートシーンを凝縮したものとなっていった膨大なコレクションは、ナショナル・ギャラリーへ寄贈されることとなります。
ヴォーゲル夫妻の初期コレクションの多くは、当時難解すぎて人気のなかったミニマル・アートやコンセプチュアル・アートです。抽象的で抑制された表現のなかに作家の思考過程を表現している作品を彼らが好んだのは、勿論経済的な事情もあるでしょうが、生活のなかにアートを置くときに、作品相互に違和感がなく、空間に調和することも理由のひとつだったように思えます。また、一見難解だからこそ、作品を通して自分の心にある美的なものを探すことで、親密で普遍的な価値観にむかっていくのかもしれません。
*瀬田展示場エントランスに飾られた小野耕石さんの作品。版画の技法により幾重にも重ねた色の層で、独自の表現を追求している。
アートは作品がすべてだと思います。私には、アーティストとの対話から作品の価値が自分のなかで定まっていくという感覚はありませんが、その一方で、ギャラリーやアートフェアなどでアーティストと会話する機会があると、その人が一体何をしようとしているのかという全体的な像が浮かび上がり、理解が深まるように感じます。
瀬田展示場では「HEBEL HAUS × ART」をテーマに、瀬田展示場の設計にも携わった東京デザインオフィスの荒川と、アーティスト小野耕石さんによるトークイベントを開催します。この機会に、最新のへーベルハウスでアートをご鑑賞いただき、住宅とアート、それぞれのスペシャリストの対話から、アーティストの熱量を感じてください。
【HEBEL×ART】ライブトークイベント
登壇者:アーティスト 小野耕石氏・東京デザインオフィス荒川圭史
開催日時:2023年3月4日(土)午前の部 10:00~11:00/午後の部 13:00~14:00
定員:各回10名(予約制・参加費無料)
会場:へーベルハウスフレックス展示場(瀬田総合住宅展示場内)東京都世田谷区瀬田5-20
※当日は動画撮影・スチール撮影等が入ります。予めご了承ください。
企画・協力 CHIESAIKI ARTPROJECTS
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