TOKYO DESIGN OFFICEの荒川です
先日第二回SSAの研修会が行われました。SSAとは主任設計士アカデミーの略で
ヘーベルハウスの設計担当の中で、ちょっと設計がうまい人というような感じの人たち
が時々研究会的に集まっていろいろなことをやっていこうという試みです。第1回のとき
も、かなりの盛り上がりを見せそのときの計画案はデザイナーブログでも紹介してい
ます。今回は渋谷支店の設計3人(鈴木君、斉藤君、野田君)のチームに入れてもらい、
私を含め4人でチームデザインをしました。
大きなテーマは ○ ○のない家で、○○は特に何でも良いという設定でした。
この課題は、何かかがないということを前提にすることで、今まで無意識に受け入れ
ていた前提条件というか常識をいかにずらせるかということが、面白いのですが、闇雲
に何かがないという前提から入っていくのは逆に窮屈な感じがしていました。
何かがないということをネガティブに捕らえてそれを補うような進め方ではなく、そもそ
も何もない状態から必要なものを付加していくような積み上げ方をしていくと、住宅とい
う空間を成立させるために必要なものはもっと少なく、シンプルになるのではないか、
その結果こんなものがない住宅もありえるねという結論が見えくる。そんな作り方が
てきたら面白いと思っていました。
今回は第1回目と違い、具体的な敷地のコンテクストを読み込んでいくというような
個別の条件を解決していくような作り方ではなく、東京のどこかというような漠然と東京
という都市の中でこんな家があったら面白いかも。というようなものをヘーベルハウスの
システムで作りたいと思いました。
話し合いの中で、空間の成り立ち方として、渦巻きとか二重螺旋とか、なんとなく連続
しながら領域が変化していくような空間とか、何重にも入れ子になった空間のイメージ
を持っていたのですが、まあこれもいまどきの流行の考え方のような気もしましたが、
渦巻状であったり、二重螺旋であったりそういう空間に機能と光を入れ込んでいくような
ことをするのかと思っていました。始めは。
ところが、話し合いの中で、渋谷の鈴木エリヤ君が突然ハニカムというようなことを言
い始め、六角形が連続した形から発想をつなげていくとおもしろくないですか?というよ
うな話をし始めました。ハニカムか・・・・・・・・・・・とはじめピンとこなかったのですが、
とりあえずこの形をヘーベルハウスのモジュールで再現できるかという議論をしていく
うちに、この形は思った以上に住宅の空間にマッチするということがだんだん見え初め
てきました。先ず、X方向には7HP(HPとはヘーベルパネルの意味で、ヘーベルハウス
の基本モデュールで610mmです。したがって7HPは4880mmということになります。)
を連続し、Y方向には3HP(これは1830mmほぼ1間です)と7HPを連続していきこの
交点を斜めに結んでいくと完全な正六角形ではないのですが、内角が120.5度の
正六角形に近い形が出来上がることがわかりました。
この時の六角形の大きさはほぼ8帖の大きさになり、住宅の単位空間としての大きさも
ちょうど良いことがわかってきました。またこの六角形の間の壁を天井までつなげたり、
低い位置で切ったりしてつながりを操作したり、あるいは交点をボイドとして考えるのか、
柱として考えるのかということでも、空間を操作できそうな気がしてきました。
とりあえず最小のグリッドでどんなプランが出来るのか検討したのがこの計画です。
ひとつの平面計画の中に、ヘーベルハウスの構造のグリッドとしてのレイヤーと、
六角形の空間を構成するレイヤーと、プランという機能的なレイヤーの三つが重なって
います。こうやって考えていくと、以前紹介したプラン原紙というヘーベルハウスの
モジュールが薄いブルーで印刷された紙で考えているときにはまず考え様もない
プランが浮き上がってきました。ただ六角形だけではヘーベルハウスにはならない
ので、このグリッドの回りに0~3HP間でのバッファーの空間を取ると、うまくいくこと
モ見えてきました。部屋をまわって移動しながら空間が変化していくようなプランです。
この絵を描きながら、なんとなく子供の頃、毎週土曜日8時に見ていたドリフの
全員集合でコントが終わり、「タタカタッタカタタ、タッタカタカタッタカタ、・・・・・・・・・・
ツゥツゥルゥツゥツゥツゥー・・・」といいながら舞台が回っていくような、そんな住まいも
面白いかもと、夜中に一人でニヤニヤしてしまいました。
最終的に、四人でもう少し大きいパターンの計画を一つまとめました。
このハニカムユニットという考え方、実際にかなり応用が効くと思います。機会があれば
実際にこのユニットを使った提案をしてみたいと思っています。
どなたかこんな考え方に共感してくださる方、いらっしゃいませんか。楽しい毎日が送れ
ると思います。