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【HailMary1月号掲載分】ハウスデザイナーからの手紙 #24

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ハウスデザイナーからの手紙

へーベルハウス東京デザインオフィスのマツオです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

荒川がヘイルメリーマガジンに連載しているエッセイも24回目となりました。今回からスタートしたテーマは『照明』です。

本文で触れている記事は、2018年8月号掲載の「光は見えない」です。また、今までの「ハウスデザイナーからの手紙」はスタッフブログのカテゴリーで絞りこむことができますので、是非あわせてご覧ください。

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ヘイルメリーマガジン 2021年1月号掲載

ハウスデザイナーからの手紙 「住宅を作るということ 第24回」

照明のこと その1

『間接照明読本』という本があります。ライティングプランナーズアソシエーションLPAを率いる世界的な照明デザイナーである面出薫さんが監修されたものです。真っ赤な表紙ですが、背表紙は日に焼けて薄いピンクになってしまっています。いつごろ買ったかすら覚えていませんが、ずいぶん影響を受けた本で住宅を設計する中で照明のことを真剣に考えるようになったのはこの本がきっかけだったかと思います。

今思うと恐ろしい話ですが。以前は光や照明計画のことは完全に置き去りにして、プラン原紙とよんでいるヘーベルハウスのモジュールである305mmのグリッドが1/100で薄く書かれている方眼紙の上にまさに平面の計画だけをしていました。

それも外部というか周辺環境は置いておき、室内の絵だけ描いていました。そこで考えていることは効率よいゾーニングや動線、収納の量とか単位空間というようなことで、それを設計とかプランニングと呼んでいて、無駄がないものがいいプランだといっていた気がします。

それはそれでとても重要で絶対に必要な考え方なのですが、それだけでは決して快適で居心地のよい空間やきれいな形に結びつくことはなく、ここが平面的なプランニングと住宅や建築のデザインというものとの違いなのかなと思っています。

入社したころはその違いには気が付いていなかったのか、あえて気付かないようにしていたのか、学生のころは決してそうではなかったはずなのですが。現実の設計というものはこんなものだと自分に言い聞かせていたのかもしれません。仮に実際の空間と平面図にギャップがあることに気が付いていたとしてもそれらを結び付けたり、同時に考えることはそんなに簡単な話しでもなく、スキルもなかったのでもしかすると気が付かないようにしていただけなのかもしれません。

ずいぶん前のコラムに書いていると思いますが、そもそも昼の自然光であれ、夜の照明の明かりであれ、光がなければ形も空間も認識することができないので、どんな空間を作ってもどんなに高価な材料で仕上げをしたとしても光がなければ全く意味がなく、空間やかたちをデザインするということは、光をデザインすることに他ならないわけです。

平面ではなく空間とか形というようなものを三次元で考えていくためには光という存在を考えざるをえないわけです。

ですから私たちが住宅の設計をするにあたってまず考えなければいけないことは、太陽の光をどこからどんなふうに取り込むかということで、次に照明器具をどこにつけるかということなのです。

お客様には美しく快適な空間を作っていくために、まずは照明にはお金をかけましょうと話をしています。それも高価な器具を買うというようなことではなく、空間の中にどんな光を入れるのかということをしっかり考えてそこにお金をかけましょうとお願いしています。空間を快適にするためには、仕上げ材にお金をかけるよりは照明をしっかり考えた方が、コストパフォーマンスが良いからです。

これは要するに照明器具の光源そのもので光を感じるのではなく、光源から出た光をどこかに反射させるか、透過させて光を感じるということで、簡単に言うと建築化照明とか間接照明といわれていることなのです。が、そういう話をすると嫌われることが多かったのです。

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それも最近ようやく市民権を得てきた様に感じます。昔は光源が蛍光管だったこともあり、計画が上手くいっておらず、薄暗かったり光のむらが気になったりしているものが多く、器具をケチったり、電気代を節約して中途半端な計画になってしまい、快適さに結びついていないものが多く、その結果、間接照明は暗いからダメというレッテルが貼られてしまっていたのだと思います。光源がLEDに変わり、それほど電気代を気にしなくてもよくなり、ようやく間接照明が当たり前の世の中になってきた気がします。

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ただし本質的なことは当時この「間接照明読本」の中で面出さんが書いていることと変わっているわけではなく、建築の空間を快適な物にするために照明の計画がいかに重要かということを再認識するためにたまに目を通すようにしています。

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